日経新聞のデータを解析し、具体的な「投資先」を絞り込む方法

本記事では、日経新聞に掲載されている業種や業界の動向などのデータを解析し、「投資先」を絞り込む方法を説明します。※本連載は、複眼経済塾 代表取締役塾長・渡部 清二氏の著書『日経新聞マジ読み投資術』(総合法令出版)から一部を抜粋し、有望銘柄の情報をつかむ方法、投資のテーマを見つける方法を紹介します。

経常利益の変化を基に、4つのパターンに振り分ける

日経新聞のデータを見ることによってマーケットの状態や動向が把握できたら、具体的に投資先を絞り込んでいく。

 

この場合も、いきなり個別銘柄の業績などを分析するのではなく、まずは各企業が事業の基盤としている業種や業界のマーケットがどうなっているかを踏まえておくことが大事だ。世界、国内、そして業界の順番である。

 

日本株とひと口にいっても業種・業界によって値動きは異なる。たまに、リーマンショックやアベノミクス相場のときのようにあらゆる銘柄が一様に動くときもあるが、そのようなケースは稀で、たいていは上がる業種、上がらない業種の差が生まれる。

 

そもそも一様に上がるのであれば分析する必要がなく、買って寝ておけば良い。株で儲けるためには平時の分析が重要であり、そのために業種や業界の動向を見ることが重要になるのだ。

 

ここで役に立つのが、日経新聞が年に1回、5月中旬に出す業績集計の記事だ。記事の内容は、金融を除く全業種の利益をまとめたものである。

 

この記事をアレンジし、業績の動向を踏まえたのが下記の図表である。

 

[図表]業績集計を「見える化」する

(出所)2018年5月19日日本経済新聞記事を参考に「経常利益変化率」について複眼経済塾作成
(出所)2018年5月19日日本経済新聞記事を参考に「経常利益変化率」について複眼経済塾作成

 

(出所)2018年5月19日日本経済新聞記事を参考に「経常利益変化率」について複眼経済塾作成
(出所)2018年5月19日日本経済新聞記事を参考に「経常利益変化率」について複眼経済塾作成

 

表の作り方は簡単で、まずは記事に載っている数字をエクセルに打ち込む。その上で、経常利益がどう変わるかを見て、4つのパターンに振り分ける。

 

分類は以下の4つである。

 

●増益転換・・・経常利益が減益から増益に転換する業種

●業績改善・・・経常増益が前期から今期にかけて高まる業種

●業績鈍化・・・経常増益が前期から今期にかけて低下する業種

●減益転換・・・経常利益が増益から減益に転換する業種

「業績鈍化」と「減益転換」は注意が必要

2019年3月期の予想を例にすると、増益転換には造船とパルプ・紙が入り、業績改善には食品、陸運、小売が入っている。これらは比較的安心して買えるセクターといっても良いだろう。

 

例えば、業績集計が出た1週間後にはこんな記事が出ている。

 

【記事】『段ボール大増産時代世界でネット通販需要拡大』(2018年5月23日)

 

記事のポイント①インターネット通販の拡大で世界で段ボールの需要が急増している。②成長市場を取り込もうと、王子HD、米中の世界大手が増産に乗り出している。③段ボールの世界最大の需要国は中国で、世界需要の4分の1を占める。

 

記事は、ネット通販の普及などによって配送に使うダンボールが増えているという内容で、王子HDなどが原料となる板紙の生産量を増やすという内容だ。

 

業種別の動向が頭に入っていれば、王子HDに限らず関連銘柄を素直に買いに行けるのではないか。

 

逆に、4分類の中の業績鈍化と減益転換は注意が必要なセクターだ。

 

個別企業としては業績が良くても、セクターの景気が悪ければ株価も足を引っ張られる。そのため、どの銘柄を買うにしても、まずはセクターの状況を把握しておくことが重要になるのだ。

 

表の作成には少し手間がかかるが、年1回の記事の作業だ。

 

このひと手間をかけることで、どの業界が、どんな状況にあるかが把握しやすくなる。マジ読みする人にはぜひやってみてほしい。

 

フォーマットさえできれば、あとは1年ごとに内容を更新していくだけだ。

 

日経では、4半期ごとの予想記事も出しているので、さらに頑張りたい人はその記事も表に落とし込むと良いだろう。

 

ちなみに、陸運が業績改善予想となっている背景には宅配便の値上げなどがある。

 

4つに分類した際には、業績などの改善や鈍化につながった理由も合わせて押さえておくと良いだろう。

 

さて、世界、日本、業界の動向が見えれば、投資先の選択もしやすくなるはずだ。

 

魅力的なセクターや銘柄を見つけた場合、マーケット規模を見ればさらに深く分析できるようになる。

 

逆に、マーケットデータから投資先候補になるセクターや銘柄が見えてくることもある。規模が大きいマーケットや成長中のマーケットを知ることで、銘柄探しの幅が広がったり、魅力的な銘柄が見つかったりすることもあるのだ。

 

 

渡部 清二

複眼経済塾 代表取締役塾長

 

複眼経済塾 代表取締役塾長

1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。
野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。同時に『日経新聞』を読み込み、ポイントを話し合う「日経新聞・読み合わせ会議」を主宰(独自の読み方と記事の切り抜きを20年以上継続中)。
2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。
2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。
2017年3月には、一般社団法人ヒューマノミクス実行委員会代表理事に就任。

「四季報読破」は20年以上継続中で、現在86冊を読破(2019年春号時点)。そのほか、テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。著書に『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)がある。

著者紹介

連載データから読み解く!「日経新聞」マジ読み投資術

日経新聞マジ読み投資術

日経新聞マジ読み投資術

渡部 清二

総合法令出版

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