日経新聞の読み解きに最重要な「世界のマーケットデータ」とは

日経新聞を読み解くには、マーケットデータの具体的な数値を見ていくことが重要です。本記事では、マーケットデータの中で、もっとも市場規模が大きく、もっとも重要とされる「世界のマーケットデータ」を読み解くポイントを紹介します。※本連載は、複眼経済塾 代表取締役塾長・渡部 清二氏の著書『日経新聞マジ読み投資術』(総合法令出版)から一部を抜粋し、有望銘柄の情報をつかむ方法、投資のテーマを見つける方法を紹介します。

「世界のマーケットデータ」がもっとも重要である

今回は、実際にマーケットデータの具体的な数値を見ていくことにしよう。マーケットデータを見るポイントは2つある。

 

1つ目は、世界、日本、業界、個別銘柄といったマーケットの大きさを意識しておくことだ。

 

マーケットデータの重要性は、マーケットの大きさに比例するといっても良い。

 

つまり、規模がもっとも大きい世界のマーケットデータがもっとも重要で、以下、日本市場のデータ、業界のデータ、個別銘柄のデータという順番になるということだ。

 

なぜ世界のマーケットデータが重要かというと、世界のマーケットが土台だからである。その土台の上に日本市場があり、各業界のマーケットがあり、個別銘柄が乗っかっている。

 

そのため、土台が安定していれば日本市場の景気も良くなりやすいし、各業界の指数もよくなり、個別銘柄も値上がりしやすくなる。

 

逆に土台である世界が不景気ならどうなるか。

 

日本市場の景気も低迷しやすくなる。仮に個別の業界や企業が好況でも、世界が不景気だと買い手が減ってしまうため、値上がりしにくくなり、値下がりしやすくなるのだ。

 

また、日本市場で株を売買しているメインプレーヤーが外国人であるという点も押さえておく必要があるだろう。

 

不動産、建設、インフラ、地銀などの銘柄は、一見、海外市場との連動性が薄そうに見える。しかし、重要なのは「誰が買っているか」であり、外国人が買わなければ株価も下がりやすくなる。

 

外国人投資家の本国で景気が悪くなったらどうなるか。資金調達のため、保有している日本株を売ることもあるだろう。その結果、内需株といわれている銘柄でも値下がりすることがあるのだ。

 

また、本書(『日経新聞マジ読み投資術』)第2章でも少し触れたが、内需株の代表的なセクターである食品メーカーの中には、海外拠点を持つ会社があり、海外での売り上げを伸ばしている会社もある。

 

インバウンド関連も内需株だが、海外の景気が悪ければ訪日外国人の数が減り、悪影響を受けるだろう。

 

つまり、どの銘柄を買うにしても世界経済の動向は株価に影響する。土台となっている世界のマーケットデータを把握することが、投資先の選択や売買のタイミングを考える際の基礎的な情報になるのである。

「世界のお金」はどんな分野に向かっているのか?

世界のマーケットデータを伝えている記事には、例えば、次のようなものがある。

 

【記事1】『国連の開発目標と知財関連技術、特許で可視化を』

 

記事のポイント:①国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)を無視してはビジネスができない時代が迫りつつある。②SDGsは30年を期限とする17個(169のターゲット)の全世界共通の目標。③SDGsの各目標に関連した特許を容易に検索して抽出できる(「見える化」する)仕組みを世界に先駆けて構築し、世界に標準として提案すべきという筆者の主張。

 

[図表]SDGs各目標の市場規模試算(2017年)

デトロイトトーマツコンサルティング「SDGsビジネスの可能性とルール形成」 外務省のサイトでは、イトーキ、ヤフー、パナソニックなど、17のゴールに向けた各社の取組事例が紹介されている。 (参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html)
デトロイトトーマツコンサルティング「SDGsビジネスの可能性とルール形成」
外務省のサイトでは、イトーキ、ヤフー、パナソニックなど、17のゴールに向けた各社の取組事例が紹介されている。
(参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html)

 

この記事は、昨今のテーマ株の1つとなっているSDGs関連のものだ。

 

注目したいのは、「SDGs関連ビジネスの市場規模は約12兆ドル(約1300兆円)」という点だ。テーマ株のマーケット規模をしっかり計算してくれているのだ。

 

記事の試算によると、17個の中でもっとも規模が大きいのは「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」であり、要するに、再生可能エネルギー関連である。規模が大きければ、その中で成長する企業も利益を伸ばしやすい。

 

その次に大きい「産業の技術革新の基盤をつくろう」は、AI、IoT、RPAといったIT関連の新技術のことだ。マーケット規模で見るなら、この分野の関連銘柄も注目した方が良い。この記事1つ見るだけで、世界のお金がどんな分野に向かっているかがイメージしやすくなる。そのイメージを持つことが、投資先セクターの選別や判断にも役立つのだ。

世界株の時価総額など主要データを頭に入れておく

【記事2】『17年熱狂なき世界株高時価総額21%増』(2017年12月30日)

 

記事のポイント:①2017年は世界30カ国以上の株価指数が最高値を更新。世界株の時価総額は84兆ドル(9500兆円)と1年で15兆ドル(21%)拡大した。②株高の最大の理由は世界同時好況と低金利の併存。③「マネーのうたげ」を支えたのは、世界の中央銀行の金融緩和。

 

これも世界のマーケット規模を表している記事で、世界30カ国以上の国で株価指数が最高値を更新したことを伝えている。

 

要するに世界的に景気が良いということである。景気が良ければ株は買われる。

 

この記事では、債券、原油、金なども買われ、あらゆる資産が値上がりしたと書かれている。

 

また、マーケットデータの収集では、似たようなデータを継続的に集め、規模がどのように変化しているか知ることも重要だ。

 

例えばこの記事では、本文内に「世界株の時価総額は84兆ドル」「1年で15兆ドル拡大」といった数字が出てくる。

 

84兆ドルは、だいたい1京円、15兆ドルは1700兆円くらいである。

 

つまり、1年前と比べ、世界の株の総額は1700兆円ほど膨らみ、1京円になったということだ。

 

このデータが頭に入っておけば、来年も同様のデータが出るだろうから、世界経済が1年間でどのように変わったかがわかる。

 

好景気が続いているかもしれないし、後退しているかもしれない。そのような変化をつかむための基準値として、今のデータを押さえておくことが重要なのだ。

 

 

渡部 清二

複眼経済塾 代表取締役塾長

 

複眼経済塾 代表取締役塾長

1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。
野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。同時に『日経新聞』を読み込み、ポイントを話し合う「日経新聞・読み合わせ会議」を主宰(独自の読み方と記事の切り抜きを20年以上継続中)。
2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。
2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。
2017年3月には、一般社団法人ヒューマノミクス実行委員会代表理事に就任。

「四季報読破」は20年以上継続中で、現在86冊を読破(2019年春号時点)。そのほか、テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。著書に『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)がある。

著者紹介

連載データから読み解く!「日経新聞」マジ読み投資術

日経新聞マジ読み投資術

日経新聞マジ読み投資術

渡部 清二

総合法令出版

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