役員報酬が高額なため、所得税・住民税も最高税率
〈ケース3〉病院経営における節税
ご家族で病院を経営されているケースです。
通常、病院の経営は医療法人が行います。医療法人には株式会社の株の代わりに持ち分がありますが、株のような配当は出すことができません。病院が儲かっても、医療法人の理事であり出資者である医師には配当のような支払いができないのです。そのため、病院経営の医師は給与を高く設定しがちです。
この方たちは家族で1億円近い役員報酬を取っていらっしゃいました。当然のことながら、個人の所得税と住民税を合わせ、最高税率の55%が適用されます。
もし給与を半分にすれば、所得税と住民税が減り、医療法人に利益が残ります。そこで、損金性が高く、貯蓄ができる生命保険に加入したり、MS法人を活用する方法を組み合わせます。
子どもを役員にしたMS法人を設立して資産分散を図る
MS法人とはメディカルサービス法人と呼ばれているもので、病院関係の会社です。クライアントの病院は、建物は医療法人が所有し、土地は理事長であるご主人が個人で購入していました。その土地の地代をこれまでは個人で受け取っていたのです。個人の所得税率が55%の人が、さらに土地の地代を病院からもらっても税金で消えるばかりです。
そこで、病院の土地をMS法人が買い取り、土地の賃料もMS法人が受け取ります。すると法人税は30%です。ここでも55%と30%の差にあたる分だけ、税金が節約できるのです。
また、MS法人の株主や役員はお子さんたちにし、お子さんたちが運営する形をとります。これによって年間5000万円近くのキャッシュが減り、低税率の医療法人やお子さんたちに資産が流れるスキームができました。
病院は配当が払えず、また免許業のため少しでも変なことをすると役所から指導が入るといったリスクがあり、つい何もしないままになってしまうのですが、合法的にしっかりとした計画を立てることで、千万円単位の節税ができるのです。