物件に問題が発覚すれば破談、賠償金の支払いも
相対取引は、売主と買主がそろったところからスタートします。そこから不動産の精査に入り、細かい引き渡しの条件を決めていくことになります。
両者がよく話し合い、お互いに納得したうえで契約を交わしたとしても、後から不動産に大きな問題が見つかって、契約が破談になったり、売主が賠償金を負わされたりするケースもあります。
例えば、土地の境界の問題です。隣の土地との境界がはっきりしない土地は、売ろうと思っても売ることはできません。売主が勝手に「ここまで」と境界を決めるわけには行かず、隣人と話し合いをして境界を確定しなくてはならないからです。
あるいは、私道が絡む問題もあります。私道の法的な所有者が誰かがはっきりしないと権利者から通行掘削承諾がとれず上下水道工事もできません。土壌汚染のある土地も問題です。汚染された土地はそのままは使えませんから、土を入れ換えるなどの改良をしなくてはなりません。
こうした難点や問題点を売主が知っていながら隠したまま売ってしまうと、後から問題が発覚したときに必ず揉めます。売主が問題点に気づかずに売ってしまった場合でも、物件に瑕疵(欠陥)があれば売主は責任を問われます。
せっかく思い通りの値段で売れても、後から賠償金を払ったり契約破棄になったりしたら、売主は大きな痛手を負うことになってしまいます。
問われるのは宅建業者の手腕、誠意だが…
こういうとき、宅建業者の腕や誠意が問われます。誠意のある腕のいい宅建業者なら、不動産の問題点に気づいた時点で交渉を一旦ストップし、問題をクリアしてくれるでしょう。そして、「キレイな不動産」にしてから交渉を再開し、双方ともに納得のいく解決に導いてくれるはずです。
もっと言えば、交渉に入る以前の段階で不動産の問題点に気づいて、トラブルにならないような交渉をするなどして、未然に防いでくれるはずです。
オークションなら「業者のカモ」にならなくてすむ
ただ残念なことに、必ずしもそういう業者ばかりではないのが現実です。自分の利益優先で早く取引を終わらせたい業者になると、「売主が悪いから賠償してください」とか「仕方がないから、もっとプライスダウンして買手に納得してもらいましょう」などと言ってきます。
そうなると、売主は利益を守ってもらえず、泣き寝入りです。不動産の売却はとにかく業者リードで物事が進みがちで、当初の希望売却価格とは程遠い値段で終結してしまうことが多いのです。
「不動産の価値について正しく知らない」「不動産売却における業界ルールを知らない」「売却対象不動産の問題点に気がつかない」というのは、実はとても恐ろしいことなのです。意地悪な言い方をすれば、業者にとって〝良いカモ〟にされてしまうことがあるということです。
では、自衛のためにどうすればよいかと言うと、業者の論理で事が進んでしまいがちな相対取引をしなければよいのです。
その代わりとしてお勧めなのが、オークションです。オークションで売れば、売却条件や売却スケジュールも売主のペースでまた、相場より高く売れます。