債券価格は今がほぼ「天井近辺」!?
これからは債券の時代でしょうか。それとも株式の時代でしょうか。
金利のチャートを見ると現在は約0.5%(2015年6月現在)です。理論上、金利は0%以下にはなりません(北欧やスイスなどマイナス金利の国も存在しますが)。この30年以上の間、金利が下がり続けたということは、債券価格が上がり続けたということです。もしこれからも上がり続けるなら、金利はさらに下がることになります。
そう考えると今がほぼ債券価格の天井近辺ということが見えてくるのではないでしょうか。先程の金利の推移チャートを逆さにすると債券価格がこの30年以上も上がり続けたチャートになります(下記図表参照)。
[図表]長期金利のグラフを逆さにしてみると
今は長く続いた債券の時代から株式の時代へと大きく変化する過程なのかもしれません。この債券の時代から株式の時代への大きな変化をグレートローテーションといいます。実際のお金の流れも確かに大きく変化しています。
この30年以上の間、主に日本国債を買ってきたのは、銀行、保険会社、年金基金、ゆうちょ銀行等の機関投資家です。しかし、ここ数年、これらの投資家が国債を売却しています。
たとえば、厚生年金と国民年金の積立金、約130兆円を運用する世界最大規模の年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国内債券の保有額を減らし、国内株式の比率を25%にする方針に変更、債券を売却して株式を買う動きをしていることはご存じの方も多いと思います。銀行も保険会社もここ数年は債券を売却し、他の資産にシフトしています。
また、ゆうちょマネーも注目されています。ゆうちょ銀行は200兆円超の運用資産のうち100兆円以上を国債で運用しています。国債ばかりで運用していても、金利が低い今、なかなか収益を生み出せません。2015年3月末時点で株式の残高は約2兆円ですが、今後国内債券を売却して株式等のリスク資産を増やしていくことが予想されます。
今後はやはり「株式中心の資産配分」がお勧め
ここで疑問を持つ方もいると思います。今まで投資の主体だったこれらの機関投資家が国債をどんどん売却したら、債券価格が下がって金利が上昇するのではないかと。しかし国債の金利は上がるどころか、2015年の1月には0.2%を切ったときもありました。要は、それだけ国債を買っている投資家がいるから金利が低いままになっているのです。
では誰が買っているのか。おわかりの方も多いと思いますが、日銀こと日本銀行です。日銀は、年間80兆円ペースで国債を買う量的緩和策を発表しており、日銀が保有する国債の残高(短期国債を含む)は、2014年度末時点で約270兆円に達しています。償還まで2年以上の長期国債は約215兆円、同時点の国債の発行総残高は約824兆円で、市場に出回る国債の約26%を日銀が保有していることになります。
いかに巨額の金融緩和策が打たれているかがわかります。これが黒田日銀総裁の「黒田バズーカ」です。
日銀が国債を市場から吸収し、売却した投資家が株式など他のリスク資産を購入するというマネーの流れです。物価2%上昇を目指し、デフレからインフレへ大きく舵を切ろうとする中、マネーも債券から株式へと大きく資金移動をしているのです。
筆者は日本国内での運用は債券ではなく、株式中心の資産配分にしたほうがよいと考えますが、株式で運用する投資信託になると「本当に上がるのかな」など、不安になる方も多いと思います。そこで、次回からは株式で運用する投資信託を選ぶ際の3つのポイントを解説します。