競合店の様子も考慮した精度の高い収支計画書を作成
精度の高い収支計画書は、前回で説明した解析データからだけでは作成できません。周囲の競合店の様子も考慮しなければ、より正確な売上げ予測は立てられないのです。
競合店の様子は、時間帯をずらして足繁く通えばある程度はわかります。ただ、オーナーは集客率を把握することはできますが、売上げ等の経営上のデータを推測するには、機械メーカーや販売店の担当者の力が必要です。彼らの目をもってすれば、「この面積・機器数の店舗で、この時間帯にこれくらいの稼働率ならば、月売上げは30万円くらい」といった、具体的な判断を下すことも可能です。すなわち、たとえすぐ近くに競合店があったとしても、勝つ方法がわかるのです。
収支計画では、このように周辺地域のデータや競合店の様子を考慮して1日の来客数を割り出し、年間の収支を予測します。1日の来客数についても、素人が正確に予測するのは困難です。ほかにも、競合店からどのくらいのユーザーが流れてくるのか、それ以外のユーザーはどれくらいかなどを予測し、機械1台1台の稼働率や1日の来客数を算出することも必要です。
リース期間が終了すると利益率はさらに上がる
また、1年目からリースが終了する7年目まで、年間の売上げ予測は年によって異なります。これらを加味したものが、収支計画書に添付される収支予測です。一般的には、「1年目はお店の存在が認知されていない」と考えられるため、次年度よりも20%から50%低い売上げを予測します。そして2年目、3年目と順調に売上げは増えていき、その後は安定期に入ります。ここから売上げを伸ばせるかどうかは、オーナーの経営手腕にかかってきます。
もちろん、1年のなかには季節トレンドがあり、たとえば梅雨時期であれば売上げは増加するとされています。これも考慮して売上げ予測を立てなければなりません。ただし確実なのは、機器のリースが7年で終了するので、それ以降の利益率がグンと上がることです。大体2倍近い利益になると見ていいでしょう。さらに10年目に買い取ることができれば、2倍以上の利益が見込めます。
前回でも説明した下記の収支計画書のモデルケースでは、初年度約163万円だった粗利が、11年目以降は約627万円になっています。ほかの投資に比べて利益率が高いコインランドリー経営ですが、7年のリース期間終了後は、さらに利益率は上がるのです。
【収支計画書】
収支計画書の精度は、コインランドリー経営の成功を左右する非常に大きな鍵といえます。開業を検討する際は、リースや購入を検討している機械メーカーや販売店に収支計画書の作成を依頼し、それらを比較してより精度の高い会社をパートナーとすることが重要です。