開業する価値がある、と判断するための材料とは?
儲かるコインランドリー店のもっとも重要なポイントは、なんといっても立地です。いくら高性能な設備を揃えても、ターゲットとなるお客さんが住んでいる立地でなければ経営は成り立ちません。
現在のメインターゲットは、子育て世代の女性ですが一口に子育て世代の女性といっても、新興住宅地に住む30代女性を指すのか、成熟した街並みの40代女性を指すのか、属性はさまざまです。それによって店舗に設置すべき機械も変わります。ただやみくもに「この辺りは人口が多い割に、コインランドリー店が少ないから」といった理由で開店しても、ハイリターンを実現することはできません。
立地条件を考慮しつつ、その地域の住民ニーズに合った店舗づくりのよりどころとなるのが、収支計画書です。収支計画書とは、周辺の市場調査から割り出した売上げ予測やローンの返済などを考慮した収支を記載した書類です。開業する価値があるかどうかを判断する大きな材料になります。
【収支計画書例】
コインランドリー経営を始めるに際し、どれくらいの売上げが期待できるかを予測するだけでなく、リースやローンの審査の際に金融機関から求められるので、必ず作成しなければなりません。現状として、ほとんどの機械販売会社や機械メーカー、フランチャイザーがオーナーに代わって作成してくれます。
しかし、その精度は作成者によってかなりバラつきがあります。なかには「半径1㎞以内に2000世帯あるため、毎月60万円の売上げが見込める」といったように、個々の地域事情や住民ニーズをまったく考慮しない、数ページ程度の簡単なものもあります。
15年先を見据えた綿密な収支計画書を作成する
その一方で、たとえば筆者の会社が作成する収支計画書であれば、ボリュームは十数ページに上ります。独自の解析ソフトによって周囲の事業所数や昼間人口、有配偶者人口、高齢者人口、独り暮らし人口などを分析。人口に対して事業所数が多ければ、ターゲットとなる女性が少ないということがわかります。また、性別や年齢別の人口構成も考慮するので、「50代の女性が多いので、羽根布団を洗うニーズが高いはず」などといった、きめ細かい分析が可能となります。
下記の図の左上地図の中心の丸が店舗を予定している場所です。そこから0.5km範囲、1km範囲の人口統計をとっています。図内の左下の表は、それぞれの範囲の人口統計と都道府県全体の人口統計、全国平均の人口統計をまとめたものです。同時に、年齢構成や世帯人員別構成、事業所と世帯数の割合なども算出したうえで、各項目の店舗出店予定地周辺の値と全国平均の値を比較しています。
【独自の解析ソフトによる解析例】
筆者の会社では、さらに15年後の予測も打ち立てています。長期的な視点を要するコインランドリー経営を成功させるには、最低でも15年先を見据えた戦略を立てなければなりません。場合によっては、町丁目別の人口や世帯数のデータを出すこともあります。