小規模宅地の特例で土地評価の80%軽減が可能
もし遊休地を所有していて、その活用方法を検討しているなら、コインランドリー経営を選択肢に入れるべきでしょう。なにも利用していない遊休地といえども、土地は資産です。そのまま放置していて自身が亡くなったら相続人には多額の相続税がかかります。
ところがそこでコインランドリー経営をしていると、「小規模宅地の評価減の特例」を適用させることができます。この特例は、生活の糧を生み出す店舗やアパートなどを、相続税を支払うために手放すことがないように、土地の相続税評価額を減額させるものです。
店舗の場合は、400㎡までの相続税評価額が80%軽減されます。たとえば空き地だと1億円と評価されていた土地が、コインランドリーを開店させることで2000万円の扱いになるのです。ちなみに「小規模宅地の評価減の特例」は、アパートなどの貸付事業用地にも適用されますが、こちらは200㎡までで軽減率は50%です。コインランドリー経営の方が節税効果は高いといえます。
もちろんいくら節税効果が高くても、経営していて赤字が続くようでは意味がありません。オープン検討時に、機械メーカーや販売店など専門家とよく相談して、勝てるかどうかを見極めるべきでしょう。
【図表 相続税の評価方法】
ビルやマンションに併設すれば入居者への付加価値に
これはテナントビルや賃貸マンションのオーナーにお勧めのパターンです。もし、1階部分がテナントスペースで空室が続いているようなら、コインランドリー経営を検討する価値があるはずです。
1階部分は、普段から人目にさらされているので、空室は目立ちます。つまり空室が続いていると、「人気のない場所だな」と建物自体のイメージがダウンしてしまうのです。そこでオーナー自身がコインランドリー経営を始めれば、空室が埋まるので建物に活気をもたらすとともに、収入も得られます。また、明るい店舗デザインにすれば、さらに活気が生まれるでしょう。
もちろん賃料がかからないので、黒字経営のハードルも低いです。さらに賃貸マンションであれば、入居者への付加価値としてアピールできます。また、ビルの管理会社が経営するという方法もあります。以前ある不動産会社が、テナントビルを販売しました。その会社は管理(テナント募集)も請け負ったのですが、1階のテナントがなかなか入りませんでした。商業エリアから若干離れた住宅地の中にあったので、一般的な店舗向きの立地とはいえなかったのです。
テナントスペースは1年経っても埋まりません。不動産会社の社長は、自社が売ったうえに管理業務もしているのでずっと後ろめたい気持ちでいました。そんなある日、社長はコインランドリー経営のことを知ります。これなら本業に支障なく店舗運営を続けられる。そう思った社長は、空いているテナントスペースを自ら借りてコインランドリー経営を始めました。
コインランドリーなら、住宅地でも十分に採算が見込めます。社長は長い間気がかりだったテナントスペースが埋まり、さらに自社の売上げも増加したということで非常に満足しています。テナントとしてコインランドリーを入れるのは、飲食店と違って人の出入りが少なく、害虫が出ることもないので、入居者が嫌がらないというメリットもあります。
このように、コインランドリーに向いた立地パターンはいくつもあります。それぞれに異なったメリットが期待できるので、しっかりとその土地の特性を理解して出店計画を立てることで、ある程度のリターンが確保でき、安定経営につなげることができるでしょう。