コインランドリー経営では、利用者の立場に立った「お店作り」が重要となります。今回は、設置する機械の選択方法を中心に見ていきます。

設備投資は、ある程度の集客を見込んでから検討

市場調査の結果は、設置する機械の台数や種類にも影響します。コインランドリー機器を販売する会社のなかには、なによりも機械を多めに置くことを勧めるところがあります。おそらくは「店内にできる限りたくさん機械を設置するほうが、より多くの利用者を獲得することができる」と説明するでしょう。しかし彼らの本心としては、「機器類を売れるだけ売って、こちらの売上げを増やしたい」というところかもしれません。

 

コインランドリーオープン当初は、なかなか集客できないものです。地域にしっかりと認知されるまで、慎重に経営する必要があります。初期投資を抑えるために、市場調査の結果をふまえて必要最小限の機械を設置し、まずは経過を見ます。ある程度の集客を見込めるようになってから、実際の利用者ニーズを捉えて設備を増やし、確実な利益を得るのが成功への近道です。

利用者が便利だと思える「お店作り」が成功のカギ

また、設置する機械の種類は、出店する地域によって異なります。コインランドリーに設置する機械には下記のような種類があります。


●洗濯機
●乾燥機
●洗濯乾燥機
●両替機能付きコインランドリー管理システム

 

メインとなる洗濯機の容量(サイズ)は9~34㎏など、数種類あります。コインランドリーというと大型洗濯機というイメージがありますが、独身者の多いワンルームマンションが多い地域なら、小型の9㎏タイプも設置しておくべきでしょう。

 

一般的には小型洗濯機のニーズは低いと思われており、競合店には設置されていないケースも多いのです。このような場合は、小型洗濯機が差別化の武器になります。また、乾燥機は通常、洗濯機の2倍以上の台数を設置します。これは梅雨時期を見据えて、乾燥機だけを利用するユーザーが増えることを見込むためです。

 

また、九州などPM2.5(微小粒子状物質)の大気濃度が高くなりがちな地域では、「洗濯だけは家庭で行い、乾燥はコインランドリーで」というスタイルが定着しつつあります。乾燥機が足りないことでビジネスチャンスを逃さないよう、設置台数はしっかり検討する必要があります。

 

なかには、費用対効果を考えて乾燥機だけのお店にしたがるオーナーもいます。しかし、これは得策ではありません。ユーザーにとってのコインランドリーのメリットは、「便利」の一言に尽きます。ユーザーがたとえ乾燥だけのために来店したとしても、洗濯したくなったときに洗濯機がなければ、たちまち「この店は不便」というレッテルを貼られてしまいます。これは、競合店に対してのウィークポイントにもなるでしょう。消費者の立場に立ったこまやかな「心遣い」が、経営の成功を左右します。

 

洗濯から乾燥までを1台でまかなう洗濯乾燥機も設置可能です。実際には、洗濯機や乾燥機と比べて稼働率は高くはありません。しかし、「洗濯機から乾燥機に洗濯物を移し替えるのが面倒」というユーザーは確実にいます。また、一般的にユーザー1人当たりの単価は、洗濯料金500円+乾燥料金300円=800円程度ですが、洗濯乾燥機を利用してもらえれば1300円近くを確保できます。利益率アップが見込めますが、機械1台の価格も高く、1〜2台で十分でしょう。

本連載は、2015年12月20日刊行の書籍『驚異のハイリターンを生むコインランドリー経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

驚異のハイリターンを生むコインランドリー経営

驚異のハイリターンを生むコインランドリー経営

浅井 伸宏

幻冬舎メディアコンサルティング

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