右肩上がりの成長を続ける「複合商業施設」
今回は、前回紹介した「生活道路沿い」、「5台分以上の駐車場」の2つの条件を満たしつつ、さらに集客が期待できる立地パターンを見ていきましょう。
最近は、イオンやららぽーとなど都市部の超大型施設だけでなく、地方都市でもスーパー、ホームセンター、ファミリーレストランといったお店が同じ敷地内にある複合商業施設が目立つようになりました。
日本初の本格的な郊外型複合商業施設は、1969年にオープンした「玉川髙島屋」(東京都世田谷区)とされています。以来、複合商業施設は年々増え、全国で3134施設(2013年末時点)が営業しており、その売上高は推計で28兆9209億円に達しています。これは、小売業全体の20.8%に相当する規模です。現に、2001年以降の複合商業施設数の推移を見ると、着実に右肩上がりの成長を続けています(図参照)。
【年次別オープンショッピングセンター(SC)数と総SC 数の推移】
ちなみに、この背景には近年、地方自治体が、街づくりの一環として複合商業施設を積極的に誘致しているということもあります。施設当たり1000人単位の雇用が生まれるというデータもあるほか、税収確保の面でも有効な手段となるからです。複合商業施設は、今後ますます増えていくでしょう。コインランドリーに関しても、同様のパターンで非常に高い売上げを出しているお店が増加しています。
店舗内ではなく駐車場の一角に出店する
【大型スーパーマーケットと併設】
スーパーマーケットは、まさに主婦が毎日通う場所。ここにコインランドリーを併設できれば鬼に金棒、最高の立地といえます。大型駐車場があるうえに、洗濯中に買い物を済ませてしまえば、待ち時間も気になりません。しかも、なかには大型店舗の敷地内にあることで安心感を覚えてくれる人もいます。とはいえ、「他店舗内の一角を借りられるのか」と心配する人もいるでしょう。もし借りられるとしても、集客力の高い店舗内のスペースは、賃料が高いかもしれません。
しかし実は、借りるのは店舗内ではないのです。駐車場の一角、しかもできるだけ店舗から離れた場所を借りるのです。店舗内であれば、ユーザーは洗濯物を持って入るのに抵抗があります。しかも店舗前の駐車場はいつも混んでいるので停めにくいというデメリットもあります。
一方、店舗から離れた場所だと、いつでも目の前に停められるし、かさばる洗濯物や羽毛布団を抱えて歩いていても人目を気にする必要がありません。ユーザーは、コインランドリーで用事を済ませてから、車でスーパーの前まで移動。買い物を済ませて再度車でコインランドリーに戻ります。
こうして文字で読むと面倒に思えるかもしれませんが、近所のコンビニまでも車を利用する最近の主婦にとっては、たとえ短距離でも荷物を持って歩くよりはむしろ楽なようです。また、駐車場内の一角は、店舗内のスペースを借りるよりも賃料が安いという大きなメリットもあります。
実際、大型スーパーマーケットとの併設店では、成功事例が続出しています。ある関西地区のお店では、以前からスーパーの近くで月平均80万円の売上げを出していました。全国の20坪クラスの平均売上げは60万円前後。この店舗は26坪ですから80万円は、決して悪くない数字です。そこに大型スーパー敷地内への出店話が舞い込んできました。面積はほぼ同じで、賃料も今とそれほど変わらないという条件です。
オーナーはすぐに出店を決断。1年も経たずに売上げは160万円を超えるようになりました。それほど離れていない立地にもかかわらず以前の2倍の売上げです。それほど大型スーパーの集客力は強いのです。ちなみにこのオーナーはその後、スーパーから1.5㎞離れた場所に空き店舗を見つけ、そこにも出店しました。放っておいたら他店が出店するかもしれないからです。2店舗目の売上げは70万円ですが、オーナーは周辺地域一帯の商圏を握ることができたので大変満足しているようです。