ひと言でいえば東大や京大のようなトップ校に楽に合格する子どもは必ず「自分で考える習慣」を持っています。難問にぶち当たっても諦めず、集中力を持って考え続けられる力を持っているのです。
彼らは身動きもしないでずっと問題を見続け、問題をとことん考え抜き、やがて解いてしまう。そして、根気よく考えれば問題が解けることを知り、自信を持ちます。小学生の頃から偶然なのか、性格なのか、あるいは人から教わったのか、いずれにしても自分で考える習慣を身につけていて、考え抜く力を持っているのです。
日本の学校教育は「覚える」ことを重視しているが…
では、多くの子どもたちに、なぜ、こうした「考える習慣」がないのでしょうか。それは日本の学校教育が「考える」ことより「覚える」ことを重視しているからです。
本来、学習とは、学習する内容そのものを知識として習得すると同時に、その内容を習得する方法を知恵として身につけることで成り立つものです。だとすれば、今の教育は知識偏重主義、とにかく知識を与えることに重点をかけ過ぎなのではないでしょうか。
その典型が、小学校での算数教育に表れています。算数教育の本来の目的は、計算能力を身につけることではありません。あるいは公式を覚えて、問題を解けるようになることでもありません。長い時間をかけてでも、ものごとを筋道立てて考える力を養うことこそが、算数を学ぶ真の目的なのです。
一見したところ、とても解けそうにないような難問に対して、ひたすらに考え抜いて、最後には答えを導き出す。「思考力」を鍛える学問、それが算数なのです。
私立トップレベル中学校の入試問題が格好の素材に
考えるための材料は、本当に何でも構いません。筆者の塾で、算数の入試問題を使っている理由は、次の2点です。第一は難問が揃っていること、第二は入手しやすいことです。