本記事では、絵画の売買において、意外な絵に高値が付く理由を解説します。

買い手が見つからなければ0円?…絵画の値段は流動的

資本主義社会の市場においては、絵画に限らず、すべてのモノの値段は需要と供給によって決まります。つまり、需要が多くて供給が少なければ価格は高くなり、需要が少なくて供給が多ければ価格は安くなります。

 

たとえば、無名の誰かが趣味で描いた絵を売ろうとしても、なかなか買い手は見つからないでしょう。仮にインターネットのオークションに1円で出品して誰も入札しなかったとしたら、それは需要がないということなので、価格としては0円に等しいと考えることができます。

 

一方で、もしゴッホの知られていない絵がどこかの家の納屋から発見されてオークションに出品されたとしたら、その価値は数千万円あるいは数億円以上になるはずです。その絵をどうしてもほしいと思う人が、世界中に数多く存在するからです。絵画の値段はとても流動的です。

絵の価格高騰は「需要と供給」の関係で説明できる

ゴッホの生前に、展示会や販売会などの正式な場で売れた絵は、たったの1枚しかなかったといわれています。しかし、今であれば何億円払ってでもゴッホの絵がほしいという人がたくさんいるのです。このように、絵の価格が高騰するのは、需要と供給の関係で説明できます。画家が自らの手で描いた絵は基本的には世界に1点しか存在しないもので、希少価値が高くなります。

 

一点ものですから、二人以上の人間がどうしてもほしいと思って奪い合いになれば、価格は際限なくはね上がります。たまにオークションなどで記録的な高値が出るのは、お互いに一歩も引かない、つば競り合いが繰り広げられたからです。

 

では、絵画というものは、誰もがほしがる希少な有名絵画と、ほしがる人の少ない一般の絵画とに分かれるものなのでしょうか。基本的にはそうですが、その中間にもさまざまな絵画が存在します。私の経営する画廊で扱っている絵画にも、1点数万円の版画から、何千万円もする有名画家の油絵まで、いろいろなものがあります。それらは基本的には、需要と供給に基づいて価格が定められています。

 

そのため、しばしば絵画には、原材料や、それを描くのに費やした手間や時間だけでは推し量れないほどの高値がつけられます。

基本は大きさによる「測り売り」!?

もし、原材料と労力だけで絵画の値段をつけるとしたら、どのようになるでしょうか。たとえば、DIY(Do It Yourself)好きには欠かせない東急ハンズは、絵具やキャンバスなどの画材を売る一方で、アマチュア画家のために簡単な販売場所としてアートメーター(ART - Meter)というオンラインショップを運営しています。

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    本連載は、2017年4月28日刊行の書籍『「値段」で読み解く魅惑のフランス近代絵画 』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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