ひとつひとつは少額ながら、年間を通すと大きなボリュームとなる印紙税。ここにも節税のポイントがあります。本連載最終回では、『小さな会社が本当に使える節税の本』(自由国民社)から一部抜粋し、小さな会社がもっともすべき節税のひとつ、印紙税の節税方法を税理士が解説します。

文書を紙から電子媒体にするだけで節税できる

印紙税は文書に対して課される税金です。印紙税の対象になるのは、印紙税法で定められた「課税文書」と呼ばれるもので、課税文書を作成すると、定められた金額の収入印紙を貼り付けて消印し、納税する必要があります。 課税文書は20項目に区分されており、そのうち以下に挙げるものが代表的なものです。

 

① 不動産等の譲渡契約書(一号文書)

② 請負契約書(二号文書)

③ 継続的取引の基本契約書(七号文書)

④ 金銭または有価証券の受取書(一七号文書)

電子媒体で作成すれば印紙税の課税対象にならない

さて、この印紙税ですが、実は簡単に節税する方法があります。課税文書を紙ではなくPDF等の電子媒体で作成するという方法です。印紙税は文書に対して課されるので、電子媒体の場合は文書に該当せず、印紙税の課税対象にならないのです。
 

また、印紙税は、課税文書原本に課されるので、コピーの場合は課税されません。通常、契約書などは売り手・買い手の両方が原本を保管するケースが多いですが、原本をひとつ作成してそれに印紙を貼り、もう1通はコピーで済ませることで、印紙税を半分にすることができます。

 

一号文書、二号文書および七号文書などは、記載金額の多寡によって印紙税額が異なります。税抜で記載することにより金額を少なくし、その結果、印紙税が少なくなることがあるかもしれません。

 

ただし、一号文書や二号文書で契約金額を記載しなかった場合、200円の印紙が必要となります。記載金額が1万円未満の場合は非課税なので、金額を記載したほうが印紙税は少なかったというケースもあります。ある大手流通企業で、数百円の請負契約書に金額を記載していなかったことにより 、1通あたり200円の印紙税が課され、数千万円単位で課税された事例もあります。契約書の書き方にはくれぐれも注意してください。

クラウド会計の導入でタイムリーな試算表作成を

節税のために何より重要なことは、そもそも自社の税金がどのくらい発生するかを把握することです。そのためには、タイムリーな試算表の作成が必須となります。その毎月の試算表の作成ですが、近年クラウド会計を採用する企業が急速に伸びています。

 

クラウド会計とは、インターネット上のサーバーにアクセスして、サーバー内で仕訳入力を行う方法です。従来は、会計ソフトをPCにインストールしてから仕訳を入力するため、会計ソフトのインストールされたPCでしか入力ができませんでした。しかし、クラウド会計では、サーバーにアクセスできればどのPCからでも入力が可能となります。

 

よって、たとえば、会社の経理担当者が仕訳を入力し、ちょっと自信がないときは顧問税理士に電話し、お互い離れたところで同じ画面を見ながら議論し、仕訳の修正をするといったことが可能になります。また、銀行データやカードデータの取り込みが可能となっているので、経費勘定だけ入力すればよいことになります。

 

さらに、AI機能がついており、過去に入力した内容のものは科目を自動で推定してくれたりと、旧来の入力方法にはなかった画期的な方法が散りばめられています。毎月使用料が発生することや、サーバーにアクセスする関係で入力スピードがやや遅かったりすることなど、万能というわけではありませんが、タイムリーな試算表作成を行うためにクラウド会計の導入を検討してみましょう。

 

 

冨田 健太郎

税理士

 

葛西 安寿

税理士

 

本連載は、2018年6月15日刊行の書籍『小さな会社が本当に使える節税の本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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