小さな会社で「100万円の節税」は難しくないと言えるワケ

節税にはかなり面倒な項目もありますが、売上をつくることと比べれば、それほど難しいことではありません。本記事では、小さな会社が使える節税を具体的に取り上げます。 ※本連載は、冨田健太郎税理士と葛西安寿税理士の共著、『小さな会社が本当に使える節税の本』(自由国民社)から一部を抜粋し、資本金1億円以下、従業員数50人以下の小さな会社を経営する社長のための、合理的でリスクの少ない節税法を紹介します。

研究開発の税金控除制度では最大で40%もの節税が可能

税額控除とは、法人税を直接安くできるものです。期間限定で制定される租税特別措置法に基づくものが多く、継続的な情報収集が肝心です。まずは、メジャーなものを2つ紹介しましょう。

 

機械等を取得した場合、税額控除が受けられます。これは、設備投資を後押しするために設けられた制度で、中小企業者などが新品の機械などを取得して事業に利用した場合、その取得価額の7%相当額(法人税額の20%が限度)を法人税額から控除できるもの。対象となる機械などは、次のようなものに限定されています。

 

・1基160万円以上の機械および装置
・1台120万円以上の事務処理の効率化、品質管理向上等に資する測定工具および検査工具
・合計70万円以上のソフトウェア
・3.5トン以上の運搬用普通自動車

など

控除しきれなかった金額は、翌事業年度に繰り越すことができます。なお、不動産業、電気業など一定の事業や、資本金が3000万円以上の法人などは対象外になります。

 

また、企業の研究開発投資の促進を図る目的で、試験研究費関連については諸々の手厚い税額控除制度が設けられています。

これまでは、対象となる試験研究費は①製品の製造、②技術の考案、改良等がその範囲とされていましたが、これらに加え新たに③ビックデータ等を活用したサービス開発もその範囲に含まれました。

 

この制度はかなり複雑で、現状では「試験研究費の総額に係る税額控除制度」「中小企業技術基盤強化税制」「特別試験研究費に係る税額控除制度」「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度(高水準型)」の4つから構成されています。ただし、複雑なだけあって、これらをうまく組み合わせることができると、なんと最大で法人税額の40%もの税額控除が可能となります。開発等を行っている企業は一度顧問税理士へ相談してみるとよいでしょう。

役員報酬を損金にできるのは定期同額給与の場合のみ

役員報酬は、「定期同額給与」である場合に限り、税務上の損金とすることができます。定期同額給与とは、「毎月一定の時期に同額が支払われる給与」のことをいいます。役員報酬の改定は、事業年度開始から3カ月以内に限り可能なので、金額を変更する場合には、必ずその期間に改定します。

 

たとえば、決算の間際に利益が出るからといって、急に役員報酬を増額しても、増額した部分は、毎月同額ではないため損金になりません。逆に、資金不足などによって期の途中で減額した場合も、毎月同額というルールから外れてしまうため、減額した部分は損金になりません。

 

また、役員賞与も定期同額ではないため、原則は損金となりませんが、例外的に事前に税務署へ届出をすれば、損金とすることができます。

役員報酬はまとめずに分散させたほうがお得

役員報酬が法人の損金になる一方で、それを受け取った個人に対しては、給与所得として所得税や住民税がかかってきます。法人の実効税率は30%程度ですが、個人の所得税と住民税の税率は、15〜55%と幅があります。法人の経営の状況や将来の設備投資計画、キャッシュフローの状況、役員報酬に関する社会保険料、役員個人の税負担などもあるので、いくらの役員報酬が適切であるか、長期的な観点から総合的に判断する必要があります。

 

家族が役員として会社の経営に従事している場合には、家族にも役員報酬を支給することができます。社長ひとりにまとまった役員報酬を支給すると、所得税の超過累進税率によって個人の税負担が大きくなります。しかし、家族に役員報酬を支給して所得を分散することで、それぞれの税率を下げることができ、トータルでの節税効果が期待できます。

オーナーや社長は所得税も節税できる

オーナー社長関係については、本来であれば給与としてもらって所得税を支払った後の金額から支払うべきものを法人の経費とすることができるので、単純に所得税分の節税をすることができます。所得税の最高税率は55%(住民税含む)なので、節税効果はかなりの金額が見込まれます。法人税のみならず所得税も節税できる方法になるので、該当する場合はぜひ活用してください。

 

また、国内や海外に会社をつくる手法は、ハードルこそ高くなりますが、それだけに効果はかなり大きくなるので、会社の発展に合わせて検討していきたい項目となります。まずはできるものから取り掛かってみてください。これらの施策を取り入れることで、少なくとも数十万円〜数百万円、会社によっては数千万円〜億単位での節税が見込めます。

100万円の節税はそれほど難しくない

節税は税に直結します。そうすると、仮に利益率5%の会社であったとしたら、100万円の節税は2000万円の売上に匹敵することになります。2000万円の売上をつくることはそう簡単ではありませんが、100万円の節税はそこまで難しいものではありません。かなり面倒な項目もありますが、その苦労を負ってでもやる価値があるもの。なので、専門家に相談しながら実施することをおすすめします。

 

 

冨田 健太郎

税理士

 

葛西 安寿

税理士

 

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税理士

複数の上場企業の経理部、大手専門学校の講師、会計事務所および個人事業を経験して独立開業。開業後は、オーナー企業や個人事業者の税務・会計、コンサルティング、講座講師等をしながら、 WEBでの情報提供にも注力している。自身が運営するサイト「勘定科目大百科」は月間20万PV以上、また、 大手税理士検索サイト税理士ドットコムの税理士ランキングで1位も獲得している(平成29年8月18日現在)。東京税理士会上野支部税務支援対策部委員。

著者紹介

税理士

青森、宮城、東京の3つの税理士事務所および税理士法人に12年にわたり勤務。零細企業から上場企業までの法人税申告を行うとともに、医療法人の申告や相続税等の資産税業務まで幅広く業務をこなす。独立後は、いち早くクラウド会計を取り入れ業務を拡大するとともにもうひとつの柱として相続税業務に注力している。その他、医療法人の監事、既存税理士のいる会社とのセカンドオピニオン契約、保険外交員向けセミナー、執筆等、多岐にわたり活動している。

著者紹介

連載小さな会社・中小企業で使える「とっておきの」節税策

本連載は、2018年6月15日刊行の書籍『小さな会社が本当に使える節税の本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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