今回は、中小企業の出張旅費規程に加えるべき節税策を紹介します。※本連載は、冨田健太郎税理士と葛西安寿税理士の共著、『小さな会社が本当に使える節税の本』(自由国民社)から一部を抜粋し、資本金1億円以下、従業員数50人以下の小さな会社を経営する社長のための、合理的でリスクの少ない節税法を紹介します。

「日当」を定めれば出張旅費を損金にできる

出張に関する支出には、交通費、宿泊費などがありますが、出張旅費規程に日当などを定めておくと、これら実費に加えて、日当なども法人の損金にすることができます。

また、受け取る個人の側からみると、日当などは給与ではなく、非課税所得となります。個人に対する給与にならないということは、社会保険料の負担も増加しません。さらに、国内出張に関する手当は、消費税の課税取引なので、仕入税額控除の対象となります。まさに、法人と個人どちらにも嬉しい制度です。

 

なお、日当の目的は、「宿泊費や交通費以外にかかる食事代や少額な諸経費などを、出張の都度精算するのは煩わしいので定額で支給する」ということであり、節税のためにあるものではありません。よって、日当は同規模同業他社と同水準であることが望ましく、そのほかにも、全社員を対象とすることや、書類を保管しておく必要もあります。

規程の目的と手続き方法

出張旅費規程に定めるべき内容は次の通りです。

❶規程の目的

出張旅費規程の目的を定めます。「役員または社員が業務により出張する場合の手続及び旅費に関して定める」といった文章が一般的です。

 

❷適用範囲

全社員が対象になります。もし役員を別規程にする場合には、その旨を記載します。

 

❸出張の定義

出張の定義を定めます。移動距離が片道100キロを超えるものを出張と定義している会社が多いようです。また、距離によって、遠出張や近出張などを定めることもできます。

 

❹旅費の種類と金額

交通費、宿泊費、日当などの金額をそれぞれ定めます。交通費は実費精算です。宿泊費は一般的には実費精算ですが、定額支給とすることもできます。日当は宿泊の有無や距離で区別できるほか、長期の出張については減額することも可能です。いずれも、社長や役これらのほかに、出張時の食費に対する手当を支給する会社もあります。

 

❺手続き方法

出張申請書や出張報告書などの提出に関する手続き方法や必要な添付書類、提出期限などを定めます。

 

出張旅程規定を定めると事務処理効率も上がる

出張旅費規程を定めると、節税効果だけでなく事務処理の効率化も図れます。所定の様式に必要な情報がまとまるため、処理しやすいほか、宿泊費を定額支給にすれば宿泊費の領収書を確認する必要もなくなります。 

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    本連載は、2018年6月15日刊行の書籍『小さな会社が本当に使える節税の本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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