病院の「内覧会」で飼い主に安心感・信頼感を与える
前回に引き続き、動物病を繁盛させるために押さえる「集客」について見ていきます。
【6】内覧会を活用する
開業広告による宣伝活動と並行して、内覧会を行うことも、ぜひ前向きに検討してみてください。地元に病院を認知させ、広く浸透させるうえで非常に大きな効果を発揮するはずです。ペットを飼っている人であれば、近くに動物病院ができたときには、「どんな設備があるのだろうか」「院長はどんな人だろう」と気になるはずです。
内覧会は、病院を地域の人々に公開し、院内の構造や設備を自由に見学してもらい、また、院長、スタッフの人柄に直接触れてもらうことで、そうした飼い主の疑問や興味に応え、さらには安心感や信頼感を与えることができます。また、内覧会を開くことは、開院を前に緊張しているはずのスタッフの不安感を取り除くことにも役立ちます。
特に、動物病院に勤務した経験の全くないような人がスタッフの中にいる場合には、内覧会に来た見ず知らずの飼い主の相手を務めることが、接客のよい事前練習の機会にもなるはずです。さらに、その際のスタッフの応対の様子を観察する中で、内覧会に訪れた人に対する言葉使いや態度などに問題があることを発見し、開業前に指導、教育して改善することが可能となります。
内覧会の際には、開院チラシや院内パンフを用意しておくことを忘れないようにしましょう。また、内覧会の際に、病院のロゴが入ったノベルティグッズを配ったり、たとえば「ペットお悩み相談会」をあわせて企画したりするなど一工夫試みることで、当日集まった人たちに、病院に対するより好ましい印象を与えることができるかもしれません。「内覧会を開きたいが、そのための準備にかけられる十分な時間がなく難しそうだ」というのであれば、内覧会の準備や集客をサポートしてくれる専門の業者もいますので、利用を検討してみてもよいでしょう。
診察する対象動物を絞り込んで集客を伸ばす
【7】ウサギ、爬虫類などのニッチな動物を狙う
動物病院間の競争が激化している状況の中で、集客のためには、ほかの動物病院との違いを際立たせること、すなわち競合との意識的な差別化が求められています。そして、差別化のためには、
①犬、猫を診療対象としながらより専門性を強めること
②犬、猫以外の動物を診療対象とすること
の二つの方向性が考えられます。
まず、①については、たとえば、外科の中でも「脳神経外科」「心臓外科」「軟部組織外科」「腫瘍外科」「整形外科」など、さらに細かく分野が分かれています。そのような細かく分かれている分野の中に、勤務医の頃から特に実績を積んできた分野、あるいは独自に研究してきたような分野があれば、それを強くアピールするわけです。
一方、②については、爬虫類や両生類などいわゆる“エキゾチックアニマル”を対象とした病院を開業することが考えられます。犬、猫だけを対象とした動物病院に比べれば、エキゾチックアニマル専門の病院はまだまだ数が圧倒的に少ないので、飼い主が「遠方からでもその病院目当てでやってくる」こと、つまりは診療圏が大きく広がることが期待できます。
また、犬、猫以外の動物を診療する場合でも、あらゆる動物を対象とするのではなく、特定の動物に特化するという選択肢もあります。実際、筆者のクライアントには、フェレット専門、ウサギ専門の動物病院を運営している院長がいます。フェレットもウサギも非常に神経質な動物で、ほかの動物と待合室や診療室などで一緒になると強いストレスを受けるので、「専門の動物病院のほうが安心できる」と、大勢の飼い主さんが遠いところからもはるばる足を運んでおり、大変に繁盛しています。