元・国税調査官が伝授 会社を成長させる「究極の節税」とは?

元・国税調査官が伝授 会社を成長させる「究極の節税」とは?

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、ひとたび節税の方法を間違えると税務署から捜査の手が入り、経営が楽になるどころか危機的な状況に陥ってしまうこともあるのです。本記事では、元・国税調査官だからこそわかる「究極の節税」を紹介します。

実業家の稲森和夫氏が著書『稲森和夫の実学』(日本経済新聞社/2000年)で、キャッシュベース経営(現金に基づいた経営)の重要視を強調されているように、キャッシュが潤沢にある会社ほど「強い」のです。

 

企業間取引を例に見ると、その意味が理解できます。業種業態を問わず、一般的な企業間取引では売上の回収よりも仕入れなどの支出が先行する傾向にあります。

 

たとえば製造業の場合、先行投資で材料を仕入れたうえで人件費をかけて製造し、出来上がった商品を売り掛けで販売します。帳簿上では利益は計上されますが、売上の回収は後回しになるため実際の現預金は減っていきます。

 

この状態で売上をさらに伸ばそうとすれば、支出はますます先行する一方、回収はどんどん後回しになり、手元の現預金が減り続けることになります。場合によっては、売上は増えたけれど、支払いのための現金がいよいよ足りなくなるという事態に陥ることも考えられるでしょう。

 

こうした状況で、運悪く取引先が倒産し、売掛金が回収できなくなるとどうなるか。会社にキャッシュが潤沢にあれば持ちこたえられますが、なければ黒字倒産も現実味を帯びてきます。

 

現在は経済のグローバル化によって、世界各地の不況が日本にも瞬時に影響を及ぼす時代です。2008年のリーマンショック時は、製造業の多くがワークシェアリング(労働の時間短縮)に追い込まれました。なかには、売上が7割や8割も落ち込んだ企業もあったほどです。そうした有事でも財務的に強い会社になるためには、何よりキャッシュが必要なのです。

 

キャッシュがあるからこそ給料の遅配も避けることができますし、仕入先への支払いも遅らせずに済みます。

 

このように、会社のキャッシュが増え、財務基盤が強くなると、金融機関の与信力が高まります。与信とは金融機関が企業に融資枠を付与することで、文字どおり「信用を与える」という意味です。会社の資産のなかでも現預金が増えると、金融機関からの信用が高くなり、場合によっては無担保で融資を受けることも可能になります。

 

もともと財務的な体力が脆弱な中小企業は金融機関を味方につけて、好条件の融資を引き出すことが経営の舵取りのポイントです。

好条件で得た融資を「新たな事業投資」に振り向ける

会社にキャッシュが豊富にあれば、さまざまな投資へ振り向けることができます。「現状維持は衰退の始まり」というように、会社を継続・発展させるためには相応の投資を継続しなければなりません。

本連載は、2016年8月2日刊行の書籍『税務署が咎めない「究極の節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

税務署が咎めない 「究極の節税」

税務署が咎めない 「究極の節税」

辻 正夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」 そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、ひとたび節税の方法を間違えると税務署から捜査の手が入り、経営が楽になるどころか危機的な状況に陥り、…

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