公法上の規制の確認など、客観的な調査が行われる
次に、物件が所在している地方公共団体に行って、次のような公法上の規制等を調べます。
●用途地域(都市計画法により、地域における建物の用途に一定の制限を行う地域。たとえば第一種住居地域、商業地域等)
●建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)
●容積率(敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床)の割合)
●都市計画道路、公園等の都市施設の有無
●土地区画整理事業の有無
●接面道路の建築基準法、道路法上の種別、幅員
●建物建築確認、検査済証交付の有無
●土壌汚染対策法、土壌汚染対策に関する条例による区域指定等
●水害実績、ハザードマップ
●周知の埋蔵文化財包蔵地
●上下水道配管図
●各公共団体の中高層・ワンルームマンション規制条例、指導要綱 等々
これらの客観的な調査によって、物件がオークション売却に向いているか、売却するうえでの問題が潜んでいないかなどをチェックすることになります。
また、売却価格の目安については取引事例をベースに試算します。私たちは、価格査定では費用を一切とりません。
「事前の問題対処」がオークション成功のポイントに
ステップ③売却に向けて事前に問題を解消
調査によって問題点が出てきた場合は、事前に対処して解消します。そうでないと、スムーズにオークションが進まないからです。事前に問題になりそうな箇所を洗い出し、クリアにしておくというのがオークション成功の最大のポイントです。
例えば、次のような項目が事前準備の対象となります。
●所有権は誰にあるか
●売主は登記済権利証あるいは登記識別情報をもっているか
●隣地との境界が確定しているのか(確定していない場合、これに一番時間がかかる。道路との官民境界まで確定するには3カ月位かかる)
●越境物がないか
●私道所有者からの通行・掘削承諾書がとれているか
●土壌汚染の危険性がないか
●地中に古い基礎等の障害物がないか
●建物が建ったままになっており、今後解体の必要性がないか
●土地が道路と2m以上接しているか(建築基準法で、原則として4m以上の道路に2m以上接していない土地には建物が建てられないため)
ステップ④売却条件およびスケジュールの確定/入札要綱の作成
売却にあたっての具体的な条件を細かく詰めていきます。売却条件を詰めるにあたって一番大事なことは、入札金額が高いか低いかで売却先を決められるよう、条件を設定することです。
●売買代金の決め方は土地の実測面積に基づくのか、登記簿面積に基づき実測清算しないのか
●売主は瑕疵担保責任を負わないのか。負うとしたら、どういう場合に負うのか
●土地の境界を売主は買主に明示するのか
●残置物の処理費用は、売主、買主のいずれが負担するのか
●土地の確定測量が完了しているか
●越境物の有無
●建物の建築確認通知書、検査済証の有無
●違法建築か否か
●建物が賃貸されている場合、年間の賃料収入、諸経費、敷金等預り金の額とその清算方法(敷金等相当額を売主から買主に渡すのか)
後々トラブルを生まないように、万全の入札要綱を作ることも、オークションを成功に導くための大きなポイントです。
スケジュールの目安は、売り始めるのに最短で約1カ月、買主が決まってから契約までに約1カ月です。ステップ①の依頼から、ステップ⑦のゴールまでは通常半年くらいを見ておけばよいでしょう。
選考では「高く買ってくれる」買手を見つけるのがカギ
ステップ⑤買手の選定とオークション書類の送付
不動産の特徴や特性を踏まえて、「ここなら高く買ってくれるに違いない」「この会社なら、きっと有効活用してくれる」という買手を選定します。そして、選定した多数の検討者にのみ入札要綱などの書類を送付します。高く買ってくれる相手にオークションを持ちかけるというのも、高値売却を成功させるために必要なポイントです。
どの業者に送付したかを記した送付先リストは売主と共有します。
ステップ⑥入札
入札要綱にしたがって入札を開始します。入札者の検討期間はだいたい1~2カ月で、入札が始まったら受付期間は3日間程度になります。
入札の期限が終了したら、売主の立会いのもとで開札を行います。こうすることで、オークションの透明性を担保します。
ステップ⑦落札者との契約/物件の売却・引き渡し
最高額を提示した業者と売買契約を結びます。ただし、一部の例外を除きます。一部の例外とは、買手側に代金全額を支払う能力がないなどの不安材料が確認された場合です。物件をどうしても手に入れたいがために無理をして高額入札してくる例もないわけではないので、契約前に入札業者をきちんと調査をします。
契約成立後は、代金決済手続きや物件の引渡し、所有権移転の登記などを行って、売買完了です。