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これからの資産形成に不可欠な「新技術に投資する」行動力

本連載は、金融情報全般を扱う大手情報配信会社、株式会社フィスコ監修の『FISCO 株・企業報 今、この株を買おう 2018年/冬号』(実業之日本社)の中から一部を抜粋し、10年後の未来を考察した際に見えたキラーワード「デジタル資本主義」について、その概要と、今後の日本にもたらす影響を探ります(分析:株式会社フィスコIR取締役COO・中川博貴氏)。

インターネットの普及前、その可能性を信じた人は…

「10年後の日本未来予想図」という今号の特集テーマに際し、フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議では、10年後の未来を考えるにあたり、その根幹を貫くキラーワードが「デジタル資本主義」であると考えた。「デジタル資本主義」とは何なのか。それが我々の住む日本に何をもたらすのか。同分析会議の主要構成メンバーの1人であるフィスコIR取締役COOの中川博貴氏に話を伺った。

 

<フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー>

 

・フィスコIR取締役 中村孝也

・シークエッジグループ代表 白井一成

・フィスコIR取締役COO 中川博貴

 

フィスコ世界経済・金融シナリオ会議は、フィスコエコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部から多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、フィスコIRの取締役COOである中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまでにも今後の中国経済、朝鮮半島危機、第四次産業革命後の日本経済の分析、仮想通貨と日本経済のゆくえなどの分析・考察を行ってきている。

 

インターネットは社会を大きく変えた。しかし、その変化は日常生活のなかで徐々に進行したため、「気がつけばいつの間にかインターネットが重要な社会インフラになっていた」――というのが正直な感想ではないだろうか。そのとき、目の前で少しずつ変化が起こっていることには気づくものの、世の中が大きく変化していることに気づくのは、一定の時間が経過してから過去を振り返ったときだ。ほんの25年前までは、インターネットで買い物をする人はほとんどおらず、携帯電話は話すためだけに使われていた。それが今ではスマートフォンを使ってインターネットに接続し、そこから買い物をするのがごく当たり前になっている。

 

アメリカの未来学者アルビン・トフラーは、インターネットがまだ一般に普及する前、1990年の段階で「20世は、財力と権力を持つ者が実権を担い、勝ち抜いてきたが、21世紀は政治・経済・日常生活などのあらゆるシーンで知識や筋力、情報力が時代の中心となり、権力の移行が進行する」と、情報革命の到来を予知するかのような説を唱えていた。しかし、インターネットとそれに付随する新たなデジタル技術がもたらす革命は、情報革命だけではない。インターネットの本格的な普及を前に、その可能性を信じた人は大きな財力を手に入れた。ソフトバンクの孫正義氏や、わずか27歳でインターネット関連事業を行うITベンチャー「オン・ザ・エッジ」の上場を果たしたホリエモンこと堀江貴文氏などはその象徴的な存在だ。

 

インターネットの普及から20年以上が過ぎ、今度は、インターネットの存在を前提とした新技術である仮想通貨とブロックチェーンに注目が集まっている。

 

資本主義はこれまでの歴史のなかで、その時代背景とともに都度変容してきたが、これからは前述のインターネット普及とそれに付随する新技術の誕生を背景に「デジタル資本主義」が訪れるといわれている。デジタル資本主義の到来によって起こる社会の変化を感じ取り、それに基づいた投資行動を起こすことが、これまで以上に資産形成にとって重要になってくるということだ。

 

たとえば、仮想通貨を使える店舗が徐々に増えているように、仮想通貨は確実に実体経済に浸透してきている。その変化を読み取って投資行動を起こせる人と、そうでない人では、将来、受け取れる果実の量に大きな違いが出てくる可能性がある。

現在は「次の資本主義」のフェーズへ移行する過渡期

資本主義の限界が唱えられるようになって久しいが、今のところこれに代替する仕組みはない。これまでの歴史を振り返ってみても、資本主義は時代とともにそのかたちを変容させてきた。そして、今、私たちは次の資本主義のフェーズへと移行する過渡期にある。歴史は繰り返すといわれるが、これから起こりうる変化を感じ取るために、まずはこれまでの資本主義の歴史を振り返っておきたい。

 

資本主義が辿ってきた過去を振り返るとき、18世紀半ばから19世紀にかけてイギリスで起こった産業革命がひとつの分岐点になっている。産業革命以前の資本主義は、簡単にいえば、とあるモノ(商品)を需要のある場所へと移動させることで富を蓄積させる、いわゆる「商業資本主義」だった。この時代の利益の源泉は、「ここ」に当たり前にあるモノを、「ここ」よりも高く売れる「よそ」へ持っていって売ることだった。つまり、「場所による価値の差異」で利益を生むことで利潤を追求した。

 

たとえば、15世紀半ばから17世紀の大航海時代に、商人がシルクロードや海を行き来し、ヨーロッパ、中東、中国の交易が活発になった。商人たちは、安いモノを輸送して高く売ることによって貨幣(金や銀)を蓄積した。代表的なのは、胡椒やクローブ、シナモンといった香辛料だ。ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスといったヨーロッパの上流階級は、肉の味付けと保存のために香辛料を競って手に入れようとした。

 

他方、15 世紀ごろからイギリスでは、毛織物業で労働者を単一の工場に集めて商品をつくるマニュファクチュア(工場制手工業)という形態が生まれた。経営者である資本家は、それまでの職人とその家族による手仕事でモノをつくる家内制手工業から、低賃金の労働者を雇って組織化された生産体制をつくりあげた。これにより生産性は向上し、商品を安く生産し、高く売ることで利潤を得るようになっていく。

 

そして、18世紀末以降にイギリスで蒸気機関が発明されると、工場制機械工業が生まれた。これが〝工場化〟を進めた「第一次産業革命」である。資本家は私財を投じて工場をつくり、機械を使ってそれまで以上に製品を多く生産できるようになった。工場に資産を投じ、労働者を雇う選択ができた人は富を蓄え、ブルジョワジーとなった。

 

このように主な資産が工場や産業設備で、低賃金の労働者を雇用することで余剰価値を生み出す資本主義の形態を「産業資本主義」という。

 

第一次産業革命のときには、農村に労働力となる人が余っていたため、低賃金で雇える労働力を手に入れるのに困らなかった。つまり、リスクを負いながらもマネーを投じて工場・設備を買い、労働力を調達できれば、利益を得ることができた時代だった。

株式会社フィスコは、株式・為替など金融情報全般を扱う情報配信会社。ロイター、ブルームバーグ、クイックなどプロ向け端末や証券会社のほか、ヤフーファイナンスなど20以上の主要ポータルサイトに情報を提供する、投資支援サービスのプロフェッショナル集団。

写真はフィスコアナリストとして株式市場・個別銘柄や為替市場を担当する田代昌之氏。ビットコインなど仮想通貨についても造詣が深い。

著者紹介

連載10年後の日本に到来する「デジタル資本主義」とは何か?

 

 

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