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投資用不動産の融資…金融機関で「勤務先の名刺」は場違いか

今回は、金融機関の行員が稟議書を書きやすくするために準備する資料等について見ていきます。※本連載では、不動産投資家で、株式会社サクセスアーキテクト代表取締役 安藤新之助氏の著書、『NOをYESに変える「不動産投資」最強融資術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資における融資獲得のための具体的なテクニックを紹介していきます。

担当者に対し「どんな書類が必要ですか?」は悪印象

金融機関の行員は毎日がとてもハードです。毎日何件も融資案件や保険、投資信託など日々業務に追われています。そんな中、融資審査を依頼する立場として、可能な限り自主的に書類を準備しておくことが必須です。これをするだけで、担当者からの見方がずいぶん変わります。

 

「仕事ができる人」「配慮のできる人」「やる気がある人」など、「この人は他とは違う」と思ってくれることは間違いありません。

 

実は、これができてない人がとても多いんです。投資家側から、担当者に「どんな書類が必要ですか?」なんて質問しているようではその時点でアウト! です。

 

私は新規案件の訪問時にいつもこう言われます。

 

「安藤社長は、いつもこちらの気持ちを察して、仕事のしやすいように準備してくれますからとても助かります。これだけあれば稟議書がすぐに作成できます♪」

 

多忙な中、必要な書類を毎回、連絡して準備してもらい持ってきてもらっていたら、その都度仕事がとまってしまいます。これは担当者にとって効率が悪く、避けたいところなんです。忙しいのは担当者だけでなく、本部の審査役もです。審査の流れにのってスムーズに進めないと、何が起こるかわかりません。

 

たとえば、人事異動です。審査役が厳しい人に引き継がれれば、可になるものも不可になります。私も数回、支店長や本部審査役の異動に重なってしまい、融資審査が止まってしまったことがあります。幸い、資料もしっかり作っていたので、後任にも前向きに引き継いでくれたので助かりました。しかし同じように、異動をまたいでしまった知り合いの投資家で、直前に融資不可になってしまった人もいます。

 

実は、私は駆け出し当初行員に「必要なものは何か」毎回聞いていました。

 

もちろん、セミナーや書籍でどんなものが必要なのか学んでいたにもかかわらず、金融機関によって必要、不必要なものもあるだろうから、聞いて必要なものだけ持っていこうと思っていました。完全に後手であり、配慮に欠けてますよね。勉強する気はあるものの、とても気が利かない男が私だったんです。

 

必要、不必要は先方が判断する事。可能な限り準備しておくことが大切です。

 

では、どんなものを事前に準備していけばよいのか?

 

●事業計画書(3年~5年先および10年後のビジョン)

●資金計画(融資期間金利借入れ金額修繕費など)

●物件概要書

●地図

●レントロール

●謄本 公図 路線価図 用途区域図 要約書 建物図面 固定資産税評価証明

●平面図 立面図 検査済書 (あれば)賃料査定

●建物修繕履歴

●家族関係図(本人と配偶者 ※初回訪問時)

●過去3期分の確定申告決算書所得証明

●資産背景一覧(家族の預貯金可能であれば両親の資産背景)

●保有物件一覧(物件ごとの収支借入れ状況残債)

●生命保険損害保険加入一覧

●生命保険解約返戻金一覧

 

以上のものを訪問時にそろえましょう。それもきちんとファイリングし、目次をつけてです。これだけ準備すれば担当者が稟議書を作成するうえでとてもスムーズになります。ここまでそろえて「後必要なものがあれば、迅速に対応します!」と伝えておけばほぼ完璧です。

 

私はその後も、追加で資料や情報のオファーがあれば、次回の資料に必ず組み込むようにしています。それが、少しずつ積み重ねられ、融資審査目線の資料が完成しました。今では審査部からもお墨付きをもらえるような資料になり、担当者も自信を持って本部と折衝できると感謝されています。

勤務先の名刺ではなく「自分の名刺」を準備すべき

銀行員に限らず、ビジネスマンとして最初にすること。それは名刺交換です。金融機関に訪問し、担当者は自分の名刺を差し出してきます。その時に、何も出さないのは流れ的に不自然です。

 

職種によっては、自分の名刺の必要のない方、相続対策で物件を取得しようとする方は持っていない、必要ない方もいらっしゃいますが、それは仕方ないところです。

 

しかし、不動産投資家になるという意識のもとで訪問している場合、「自分の名刺がない」ほうがおかしいのです。

 

もちろん、勤務先の名刺だけでも悪くないのですが、不動産賃貸事業として勤務先とは関係なく営もうとしているのに、勤務先の名刺だけを出すのは筋違いなのです。

 

勤務先の名刺を出す場合、自分の名刺を出した後に、話のながれで勤務先の名刺を出せばよいのです。私は、業界最大手のハウスメーカーにいましたが、それは最初に出しませんでした。最初に出したのは「不動産賃貸事業ティーサクセス代表安藤輝政」と記した名刺です。「ティーアクセス」は当時の私が興した会社名です。

 

こういった自分の名刺を出すと相手はどう思うか? 「不動産賃貸事業を営んでいる」と思うわけです。物件を持っていても持っていなくても、相手はそう思ってくれます。

 

これを出すことで相手は、「なんだ、まだ持っていないんだ~」と拍子抜けするでしょう。でも、それはそれでよいのです。だって、事業を一から始める人でいきなり業務実績がある人なんていません。恥ずかしがることはないのです。

 

ここでの目的は「自分はオーナーなんだ、これから事業を興すんだ」という強い意識を持っていることを相手に感じてもらうこと。私の経験では、名刺を差し出すことでネガティブに思われたことはありません。

 

 ティーサクセスの安藤でございます! よろしくお願い致します。

担当者 不動産賃貸事業の代表なんですね。何棟お持ちなんですか?

 いえ、まだ一棟ももっていません。これから取得するところなんです。

担当者 あっ、そうなんですね(少し拍子抜けした様子)

 最初の一棟目を御行で取得したいと思いまして。

担当者 ありがとうございます!

 

「まだ一棟も持ってない」というのはマイナス要素で拍子抜けされましたが、名刺を持っていて「一棟目は御行で取得したい!」というと、むしろ、「不動産を本気で買おうとしているんだ」ととらえてくれるものなのです。

 

金融機関は不動産賃貸事業に融資をします。金融機関は「地域産業に貢献するべく、新規で起業する人たちを応援するミッション」があるので、事業は応援をしてくれます。

 

ただ、実績無く、資産背景も乏しかったりする中で、笑顔で対応してくれることはまずありません。貸手としてミッションがあるといえども、気を引き締めて挑む必要があります。

 

不動産投資への融資に消極的な金融機関の場合、アポイントをとって訪問しても5分で話が終了してしまうこともあります。「だったら会う約束なんてしてくれるな」なんて思いたくもなりますが、貸手側として「会って話をしてみないと判断ができない」という考えもあるので、そこは割り切っていきましょう。

 

私も一時間かけて訪問して、5分程度でお断りなんて何度もありました。でもそこで、名刺交換をすることで、少なくとも自己PRをできたわけです。結果は別として相手に「自分が事業者だ」と前向きなイメージでとらえてもらえれば、ここでポイント1ゲットです。そのときは報われなくても、別の物件が出たとき、担当者が変わったとき、融資情勢の流れが変わったとき、その活動が報われるときがきます。

 

「次回、リベンジするぞ」という意気込みが、良い結果をもたらします。自分の名刺一枚で、自身が物件を持っていなくても代表になれます。最初は変な気分でしたが、だんだん自信がついてきます。「肩書が人を作る」とは、うまく言ったものだなと思います。

 

 

安藤 新之助

不動産投資家
株式会社サクセスアーキテクト代表取締役
国内最大の不動産投資サイト「楽待」著名コラムニスト
ゆとり生活形成塾代表 

 

不動産投資家
株式会社サクセスアーキテクト代表取締役
国内最大の不動産投資サイト「楽待」著名コラムニスト
ゆとり生活形成塾代表 

1972年生まれ。愛知県出身。高校卒業後、建築現場の左官職人、IT関連メーカーを経て、業界最大手積水ハウスに約12年間勤務。2015年にセミリタイア。積水ハウス時代はアフターサービス部署に在籍、クレーム産業といわれる住宅業界の第一線で年間1200件超の建物メンテナンスやクレームを解決した。建設業界20年、不動産投資10年、不動産業界を一気通貫した業界唯一の実践不動産投資家。セミナー、講演の実績多数。

著者紹介

連載不動産投資家のための「最強融資交渉術」

 

NOをYESに変える「不動産投資」 最強融資術

NOをYESに変える「不動産投資」 最強融資術

安藤 新之助

ぱる出版

本書は、不動産投資の融資術に特化した本です。不動産投資における融資は、成功の9割を決めるといわれています。いい物件を見つけたとしても、融資が通らなければ購入することはできません。物件購入が不動産投資の入り口なら…

 

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