2018年6月、改正医療法の施行によって、医療機関のWebサイトの掲載内容を含む「医療広告」に規制が入ることになりました。虚偽及び誇大広告によるトラブルが後を絶たなかったためです。本連載では、着実な集患を実現する「適切な医療広告」の作成術・発信術を探ります。今回は、「行ってはいけない病院」をWebサイトから見極める方法を紹介します。

Webサイト上では「立派なお医者様」だとしても・・・

患者が自分で病院を選ぶ時代となっています。今の患者は、ただ単に病気が治ればそれで満足というわけではなく、負担も少なく痛みも少なく、より快適な治療を施してくれるドクターを求めています。

 

独自調査によると、患者が自分に合った医療機関を選ぶための情報源は「Web」が4割で、最大勢力となっています。

 

[図表]

 

このことからもわかるように、患者が求める情報やニーズに対し、Web上で応えられない医療機関はその立場を失い、どんどん淘汰されていくことになるのです。

 

しかし、Webサイト上での「立派なお医者様」は、本当に「名医」なのでしょうか。

 

今回は、病院・クリニックのWebサイトから「行ってはいけない病院・クリニック」の特徴を見極めるポイントをご紹介します。これらの特徴をインプットして、賢い患者を目指しましょう。

 

 

特別な訓練をしてない「なんちゃって専門医」に注意

 

Webサイトを見ていると、個人経営の病院のはずなのに、どこの大学病院かと思うような診療科目を掲げている病院に行きつくことがあります。

 

例えば、本来は内科医であるにも関わらず、「胃腸科」「呼吸科」「循環器科」など複数の診療科を掲げているクリニックです。1人の医師が全ての専門医かのような見せ方をしており、色々な診療ができることを示唆しています。

 

それ自体は必ずしも間違いとは言えませんが、日本では特に勉強をしなくとも、診療科の看板をかけられるため、特別なトレーニングを積んでいない「なんちゃって専門医」も存在するのです。

 

そもそも、どれほど優秀なドクターといえども勉強する時間は有限であり、勉強すればするほど専門分野は絞られていくものです。Webサイトで所属ドクターのプロフィールを確かめても、どこかあやふやで、一体何の専門医なのかわからないということもあります。

 

ちなみに、特殊性の高い診療科に関しては、眼科なら日本眼科学会、耳鼻科であれば日本耳鼻科学会、皮膚科であれば日本皮膚科学会と、それぞれ各学会が専門医のリストをWeb上に公開しています。「あれ?」と思った時には、公開されているリストを確認してみましょう。もちろん、学会に所属している医師であれば堂々と自身の病院・クリニックのWebサイトのプロフィール欄に所属先などが記載されているはずです。

 

「診察してやるぞ」感がスゴイ病院は、消化不良に終わる可能性が高い

 

一昔前であれば、医者というだけで「先生、先生」と持ち上げられ、偉いと思われるのが当たり前のことでした。しかし、時代は変わりました。今や病院はサービス業の一面も併せ持ちます。患者のことを考えられないドクターではダメなのです。

 

しかし現状では、目を引く美しいデザイン、豪華な医療設備、そして大上段に構えた威圧的なドクターの写真で構成されるWebサイトが、まだ存在します。

 

そういうWebサイトに限って、患者のニーズに応える情報は少なく、頼りにならないケースが多いのです。

 

それは診察でも同様です。患者のことを考えられないドクターの診察を受けると、患者は自身の本当の悩みや、解決したいと思っていることが伝えられず、結局「消化不良」のまま診療が終わるケースもあります。

 

医師以外のスタッフの情報が少ない場合は対応が悪い?

 

Webサイトのどこを見ても、書いてあるのはドクターのことばかり。まるで他のスタッフがいないかのようなWebサイトもあります。そういった病院・クリニックには注意が必要です。なぜなら、受付や看護師などの医療スタッフの情報が表に出てこない場合、病院・クリニックとしての対応が悪いケースがあるためです。

 

患者のサポート体制や医療スタッフの教育に熱心な病院は、その情報をWebサイトにしっかり掲載し、信頼感の醸成につとめています。一つの医療チームとして覚悟を示しているドクターは、やはり信頼できます。

 

それを感じられない病院は、医療スタッフのモチベーションも低いため、病院の対応の一つひとつに不満を覚える可能性があるでしょう。

患者に配慮できる病院か否かは「Webの作り」で分かる

診療費など費用の説明がない病院は危険

 

保険診療であれ、自由診療であれ、病院には治療が終わるまで通う必要があります。たとえ一回一回の診療費がそこまで高額でなかったとしても、費用が明確でなければ、患者は治療に専念できません。

 

 

患者のことを慮れずに、診療費に関する情報を掲載しない病院では、実際に診察を受けてもドクターの説明が有耶無耶になることが多いのです。特に自由診療分野においては、Webサイト上に診療費についてしっかり丁寧な解説がされていない病院には注意が必要です。

 

手術の実績がわからない病院も要注意

 

ドクターの手術実績をWebサイト上で積極的に開示しない場合、ドクターの手術実績が少ない可能性が考えられます。特に、がんや白内障、再生医療などの自由診療では、手術の実績数こそ信頼の証となります。

 

手術を成功させるためには、患者とドクターの信頼関係が必須であるにもかかわらず、手術の実績を明かさずに患者に不安を与えるような病院には、やはり「行ってはいけない」のです。

 

また、診察の際に手術のことを聞いても、曖昧な回答しかしないドクターにも要注意です。手術はドクターの肩書きでするものではありません。豊富な経験と実績が求められるものです。患者の質問に正直に答えてくれないドクターは避けたほうがよいでしょう。

 

Webサイトの品格を知り、病院の品格を知る

 

Webサイトで「行ってはいけない病院」を見極めるには、患者の不安に配慮し、患者のことを第一に考えたWebサイトの作りになっているかどうかも重要な判断材料です。病院が本当に患者のことを考えているのか、ぱっと見ではわからなくても、Webサイトにある情報をたどっていけばすぐにわかります。今の時代、Webサイトの品格から、院長や理事長を含めた「病院の品格」までも、うかがい知ることができるのです。

 

それをしっかり心得て、今回ご紹介したポイントを元に自分にとって必要な情報を探し出し、ご自分に合ったドクターや医療機関を見つけてほしいと思います。

 

 

佐藤 大記

株式会社幻冬舎ウェブマ 代表取締役社長

 

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