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患者は何を基準に医療機関を「取捨選択」しているのか?

2018年6月、改正医療法の施行によって、医療機関のWebサイトの掲載内容を含む「医療広告」に規制が入ることになりました。虚偽及び誇大広告によるトラブルが後を絶たなかったためです。本連載では、着実な集患を実現する「適切な医療広告」の作成術・発信術を探ります。今回は、患者は何を基準に医療機関を「取捨選択」しているのかを説明します。

「近さ」が求められる一方、対応重視の声も

近年、スマートフォンやタブレット端末の台頭により、インターネットを利用した情報収集が当たり前になっています。医療分野も例外ではなく、今や患者がネットで情報を集め、医療機関を選ぶ時代となりつつあります。

 

そこで、株式会社幻冬舎ウェブマでは、2018年8月に全国の男女500人に対して、医療機関に関する意識調査を行いました。今回はそのデータを元に、患者がどのように医療機関を選んでいるのか、患者に選ばれる医療機関には何が必要なのか考えてみたいと思います。

 

直近1年以内に病院に行った40代~60代以上の男女500人に、医療機関を選ぶ際に重視しているポイントについて質問しました。

 

[図表1

 

最も多い回答は、74.4%で「自宅・職場からの距離」となりました。40.0%で「アクセスのよさ」が続きます。診察が1度で済むことは少ないので、今後の通院の手間を考えるとアクセスのよさを重視する傾向が強いようです。

 

3番目に多い回答は「院長・スタッフの説明の丁寧さ」で、39.0%となっています。病気治療では、患者と医師や医療機関の信頼関係が重要なものとなるため、医療機関とのコミュニケーションについての関心は非常に高いようです。

 

その後には、「評判のよさ」と「実績」が続きます。「評判のよさ」が34.4%に対し、「実績」が26.2%と少し差が開いてしまったことから、過去どうだったのかよりも、今どうなのかを患者が重視していることがわかります。

 

以降は、「待ち時間の短さ」「予約のとりやすさ」「診療受付時間(夜間や休日も診療を行っている)」と、診察時間に関係するものが並びました。年代的に、忙しい仕事の合間を縫って、通院したいと考える人が多いためだと推測されます。特に、待ち時間の短さと予約の取りやすさは表裏一体の関係でもあるため、受診予約の効率化は、医療機関にとって今後の課題となることが予想されます。

 

「自宅・職場からの距離」が最も多い回答とはなったものの、立地に関しては簡単に変更できるものではない以上、「院長・スタッフの説明の丁寧さ」「評判のよさ」「実績」といった医療機関としての本質が、今後はさらに重要視されていくと思われます。

Webを通じた「患者との関わり合い」が信頼関係を築く

次に、患者が病院を選ぶ際に、どのような媒体を情報源としているのかを調べました。

 

[図表2

 

最も多い回答は「Web」の38.2%となりました。スマホやタブレット端末が一般層に広まったことで、いつでもどこでも簡単にアクセスできるWebが、情報源として最も活用されているようです。

 

「口コミ(Webサイト上の口コミサイトを除く)」が29.4%と2番目に多い回答となっていることからもわかるように、医療機関を選ぶ上では、患者の生の声が重要な動機となるようです。

 

従来の宣伝方法である広告ですが、情報源としては苦戦しているようです。2018年6月から施行された医療広告規制で、ガイドラインがより厳しくなったため、今後も苦しい状態が続くのではないかと見られます。

 

さて、ここからは情報源としての「Web」について、もう少し詳しく考えていきましょう。

 

先ほど述べた通り、Webの利点はアクセスのしやすさです。患者が知りたい情報を簡単に集める手段としては最適なものでしょう。

 

しかし現状では、その容易さが大きな課題となっている側面もあります。ネットに溢れる情報の中から、「本当にほしい情報」にすべての患者がたどり着けるわけではありません。時には誤った情報に触れてしまい、患者の思い込みや勘違いが生じ、治療の妨げとなる場合もあります。

 

簡単に情報にアクセスできるWebだからこそ、細心の注意を払い、患者のニーズに応える情報を提供することが、今後の医療機関には求められていくのです。

 

ただ、それは医療機関にとってチャンスでもあります。

 

前述の質問からもわかる通り、今後医療機関を選ぶ上で重要なファクターとなる「医師・スタッフの説明の丁寧さ」「評判のよさ」「実績」については、わかりやすく正確に患者へ伝える必要があります。Webをうまく活用して、それらの情報を明快に発信していけば、医療機関を選ぶ際の後押しになるだけでなく、患者との信頼関係を築く足がかりにもなります。

 

特に、がん治療や白内障、再生医療、レーシック、インプラントなどの自由診療に関しては、医療広告規制の影響もあり、正確な情報を提供できる機会が少なく、患者の情報収集行動に対する絶好のアピールとなるのです。

 

また、Webを使った受診予約が可能な医療機関が増えていることも注目すべき点です。情報収集に訪れた患者にとって、医療機関のサイトでそのまま受診の予約まで行えることは大きなメリットとなります。患者の情報源としてWebが利用されればされるほど、この傾向は強まるものと見られます。

医療機関はWebを使った積極的な情報発信を

以上が、医療機関選びに関する患者の意識調査になります。通院のことを考えて、医療機関に近さを求める患者が多い一方で、「医師・スタッフの説明の丁寧さ」「評判のよさ」「実績」といった、患者である自分に何を提供してくれるのかという観点から、医療機関を選ぶ患者も増えています

 

患者が「Web」を最大の情報源としている現状に対応するため、医療機関はそれらの情報を積極的に提供していく必要があります。

 

特に自由診療については、医療広告規制の影響もあり、アピールの場が限られているため、患者の情報収集を有効活用していくことが重要です。患者のニーズに応えることは、医療機関と患者の間の信頼関係の構築の手助けともなるため、今後はWebを通じてより積極的な関わり合いが求められていくでしょう。

 

株式会社幻冬舎ウェブマ 代表取締役社長

2017年4月より現職。

大学卒業後、IT企業にてTVCMやモバイル広告をメインとした広告宣伝に従事。

2008年に企業や医療機関のブランディングに特化した出版サービスを提供している幻冬舎メディアコンサルティングに入社。顧客のターゲット目線によるコンサルティング力をもとに、 書籍やWEBを活用したブランディングを得意している。 大手上場企業の他、医療法人や個人クリニック、中小企業や学習塾、士業まで 幅広いプロデュース実績がある。

https://www.gentosha-webma.com/

著者紹介

連載患者が集まるクリニックを作る――最新「医療広告」の作成&発信術

 

 

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