クリニックの集患に不可欠な「マーケティング力」をつける方法

2018年6月、改正医療法の施行によって、医療機関のWebサイトの掲載内容を含む「医療広告」に規制が入ることになりました。虚偽及び誇大広告によるトラブルが後を絶たなかったためです。本連載では、着実な集患を実現する「適切な医療広告」の作成術・発信術を探ります。今回は、クリニックの集患に不可欠な「マーケティング力」をどうやってつけるべきか解説します。

症状に特化したサイト運営で、患者が求める情報へ導く

インターネット発展に加え、スマートフォンやタブレット端末の台頭で、患者が医療関連の情報にアクセスすることが容易な時代となっています。それは病気の知識を集めるだけではなく、自分に合った病院を選ぶ際の情報源としても活用されています。

 

病院がWebを活用して、ブランディングし、患者を集めることが当たり前となりつつある今、今後病院が集患のためのブランディングとどう向き合っていくべきなのか、集患に悩む病院を例に挙げて、一緒に考えてみたいと思います。

 

<登場人物紹介>

 

●院長

C病院の院長で、整形外科の開業医。これまでの保険診療に加え、自由診療を取り入れることで、患者の選択肢を増やし、集患につなげたいと考えている。

 

 

●事務長

C病院の事務長。院長と同じく、いまいち伸びない集患に悩んでおり、自由診療をきっかけにWebへの取り組みも積極に取り組もうと、外部のコンサルティング会社やWeb広告会社に頻繁にヒアリングを行い、院長をサポートしている。

 

<C病院のケース>

 

医者:患者の幅広いニーズに応えるために自由診療も取り入れてみたが、どうもうまく集患につながっていない気がする。一体何がダメなんだろう?

 

事務長:やはりウチの自由診療の内容がまだ患者に認知されていない部分が大きいのかと。自由診療に関しては、競合相手も多く、ウチでしかできない売りができるまでは、数字に表れるのは難しいのかもしれません。

 

医者:しかし、そんな悠長なことも言っていられないよ。こうしている間にも、よその病院に患者を取られているのかもしれないのだから。何か手を打たないと。集患さえできれば、治療実績を増やす自信はあるのに。

 

事務長:そうは言ってもこればかりは。やはり自由診療導入のタイミングで外部のコンサルティング会社やWeb広告会社に言われたように、ウチの自由診療を紹介するためのページを作ることや広告を出稿するのがいいのでは?

 

医者:とは言っても、それらもすぐに効果が出るわけじゃないだろう? SEO対策やリスティング広告もやる意義はわかるのだけれど、長く続けていこうと思ったら、あまりコストがかかるのは得策じゃないと思うんだけど。特にウチみたいな病院だと大手との広告競争に勝てる気がしないよ。

 

事務長:確かに最近は患者もネットでの検索に慣れてきて、リスティング広告などには警戒心も働くようです。院長には何かお考えがあるんですか?

 

医者:実は、他の医療機関がやっているようにWeb上で患者の悩みに応えて、サイトのファンを増やして、それを集患につなげられないかと思ってるんだけど、どうやればいいのかいい方法が浮かばなくてね。最近増えているよね、公式サイトとは別のサイトを作って患者を集めるあのやり方。

 

事務長:なるほど。患者の悩み相談ですか。それはいいかもしれませんね。以前ヒアリングした業者に少し相談してみましょう。

 

医者:何かいい方法は見つかったかい?

 

事務長:実は、参考になるんじゃないかとあるサイトを紹介されまして。今日はそのサイトを見ながら、院長とウチの病院で何ができるのか考えてみようと。

 

医者:へー、それは一体どんなサイトなの?

 

事務長:こちらです。千葉県の松戸にある渡辺医院では、「耳鳴り」の症状に特化したWebサイトを運営することで、患者に耳鳴りに関する正しい知識と情報を提供することで、患者が耳鳴りの症状とまっすぐ向き合う手助けをしています。患者は自身の症状からどのような病気の可能性があるのか、わかりやすく知ることができるため、多くの患者がこのサイトを訪れているといいます。

 

医者:なるほど。耳鳴りに特化したサイトか。こういうやり方もあるんだね。

 

事務長:ええ。せっかく自由診療を始めたのだから、あれもこれもと公式サイトに情報を詰め込もうとしすぎていたかもしれませんね、我々は。

 

医者:確かに。一人でも多くの患者に届けようと思ったら、なんだか大規模なサイトにしなければいけないのかなと思ってたところはあるね。

 

事務長:このサイトの特徴は、耳鳴りの種類が6つのパターンに分けられており、患者自身の耳鳴りがどの耳鳴りに当たるのか自己診断が行えることです。これにより、患者は自身の悩みをよりはっきりとさせ、サイトの中から自分の求める情報をより正確に、より簡単に探すことができます。

 

医者:自己診断で、患者の疑問を絞るのはいい方法だね。もともとテーマを一つに絞ったサイトであることも手伝って、患者が求める情報にたどり着くのが楽になる。

 

事務長:そうですね。たくさん情報があることも大切ですが、それが患者に届かなければ意味がありませんからねWebサイト上の受診予約システムも今後は必須。C病院の院長がやりたいと考えていた、患者とのQ&Aについても、参考になる点が多いようです。

 

医者:このサイトのQ&Aはわかりやすいね。患者の一つの質問にただ答えるのではなく、段階を踏んで答えているから、何に気をつけるべきなのかが患者にも伝わりやすい。これは参考にできるね。

 

事務長:サイト全体にも言えますが、柔らかなイラストが効果的で、患者が症状に対して深刻になり過ぎないように配慮されているのを感じます。

病院のブランディングはマーケティングの考え方が必要

医者:我々の自由診療も絶対に治療のために必要という訳ではないから、患者への配慮は大事だね。患者の生活を豊かにする治療だということをうまく伝えないと。

 

事務長:また、このサイトのコラムでは、耳鳴りに関する基礎知識や治療法だけではなく、耳鳴りの雑学やマンガ記事など様々なコンテンツが用意されており、サイトを訪れたユーザーを飽きさせない工夫がされています。患者のニーズに応えるには、マッチングする情報だけでなく、その情報にユーザーが至るまで、興味を引き付けておく見せ方も重要なことがよくわかります。耳鳴り治療に対する専門医としてのブランディングがなされています。

 

医者:ただ、色々なコンテンツがあるようだけど、これを用意するとなるとなかなか大変だね。少し気後れするよ。

 

事務長:聞いた話によると、サイトの立ち上げ時は苦労したようです。しかし、作った記事がそのままサイトの資産として残るので、良いコンテンツを作れば、その分サイトの魅力につながるので、続けていくことが大事とのことでした。患者が耳鳴りについての知識を深めた上で、受診に行きたいと思った時に、そのまま受診の予約ができる点もこのサイトの特徴です。今後の病院サイトではWeb上での受診予約は必須のものになっていくと見られます。

 

 

医者:予約システムもWebサイトにあると便利だね。こういう部分も今後のサイト作りの参考になるね。

 

事務長:予約システムもそうですが、Webサイトの情報は全国の患者に向かって発信できるので、これまで以上に広いエリアからの集患が可能になるみたいです。

 

医者:しかし、たった数日のうちによくそこまで情報を集められたね。

 

事務長:それが、今回相談した会社が公式サイトとは別のWebサイトを立ち上げた経験があるらしく、院長が考えていることを説明したら、事例を元に色々と提案してくれました。

 

医者:そうか。事務長、今度は私も一緒に話を聞くよ。私の考えていることがどこまでできるのか、意見を聞いてみたい。

 

さて、C病院では、院長の考えを元に自由診療を含めてテーマを絞ったWebサイトの作成に入るようです。中長期的な集患を考える上で、今後は病院のブランディングが欠かせないものとなります。

 

良質なコンテンツを作成することで、それをサイトの資産として、継続的に患者に提供していく、そういったマーケティングの考え方が、病院やクリニックのブランディングには必要となります。

 

そして、そのためには、病院の理念や強みを理解した上で、ブランディングに協力してくれるパートナーの存在が必要不可欠となります。

 

正しくわかりやすいコンテンツを、ユーザーに広く情報を届けられるプロの手に預けることで、コンテンツの効果を最大限に引き出すことができるのです。今後の集患のためのブランディングの成否は、病院がどれだけ信頼できるパートナーを見つけられるのかにかかっているのでしょう。

 

株式会社幻冬舎ウェブマ 代表取締役社長

2017年4月より現職。

大学卒業後、IT企業にてTVCMやモバイル広告をメインとした広告宣伝に従事。

2008年に企業や医療機関のブランディングに特化した出版サービスを提供している幻冬舎メディアコンサルティングに入社。顧客のターゲット目線によるコンサルティング力をもとに、 書籍やWEBを活用したブランディングを得意している。 大手上場企業の他、医療法人や個人クリニック、中小企業や学習塾、士業まで 幅広いプロデュース実績がある。

https://www.gentosha-webma.com/

著者紹介

連載患者が集まるクリニックを作る――最新「医療広告」の作成&発信術

 

 

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