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患者は「Webサイト」のどこを見て医療機関を選んでいるのか?

2018年6月、改正医療法の施行によって、医療機関のWebサイトの掲載内容を含む「医療広告」に規制が入ることになりました。虚偽及び誇大広告によるトラブルが後を絶たなかったためです。本連載では、着実な集患を実現する「適切な医療広告」の作成術・発信術を探ります。今回は、患者は「Webサイト」のどこを見て医療機関を選んでいるのか説明します。

調査の結果、最も重視されたのは「治療実績」

医療機関を選ぶ際の情報源として、Web媒体を利用している人が増えています。情報へのアクセスが容易で、情報量も多いため、自発的に情報収集を行い、自分なりに重視するポイントを元に、自分に合う医療機関かどうかを判断しているようです。

 

株式会社幻冬舎ウェブマでは、全国の40代~60代以上の男女500人に対して、信頼のおける医療機関かどうかをWebサイトのどこを見て判断しているのか、調査を行いました。今回はそのデータを元に、これから医療機関はどのようにWebサイトを活用していくべきなのか、考えてみたいと思います。

 

まずは、信頼のおける医療機関かどうかを判断しているポイントについて、調査結果を見てみることにしましょう。

 

[図表1

 

トップの回答は「治療の実績が多い」で45.4%でした。やはり患者が医療機関を選ぶ際に一番重視するのは、自身の病気をその医療機関が治せるかどうかです。治療実績は、その判断の目安として一番わかりやすいのは言うまでもありません。

 

2番目に多かった回答は「知りたいことや不安を解消したい情報が多く掲載されている」で43.2%でした。病気を患う人にとって、自身の精神的負担を軽くしてくれる情報は、そのまま医療機関への信頼とつながることがわかります。ただし、病気や症状ごとに異なるので、どのように対応していくのかが今後の課題になると見られます。

 

以上の2つが40%を超えた回答を集めており、患者にとって最初の判断基準となっているようです。

 

次に多かったのは「費用や治療方法が明確に示されている」で37.0%でした。どのような治療方法でどの程度の費用で治療できるのかが、費用を含めて患者の高い関心を集めているようです。また、一度の診察時間では担当医に質問できなかったり、担当医の説明をよく理解できなかったことへのフォローの有無を判断している部分もあると推測されます。

 

これに続くのは「院長や先生のプロフィールが詳しく掲載されている」で、33.6%でした。一番多い回答だった「治療の実績が多い」にもつながる部分ですが、こちらは患者が治療の専門的な部分をより知りたがっている回答だと思われます。専門的な治療が必要となる場合、その医療機関にスペシャリストがいるのかどうかは大きな判断基準になると見られます。

 

次に、「治療機器の設備が整っている」も3割を超える回答となりました。全ての患者が、規模の大きい医療機関を受診できるとは限りません。規模が大きくなくても、治療機器の設備が整っていれば、受診の際も安心できます。判断基準としては重要なポイントになるでしょう。

 

一方、「最先端と思われる治療を行っている」は、他の回答と比べて少し下がる19.4%となりました。これは先端医療が自由診療であるケースが多いことが影響していると思われます。保険診療と比べると治療費が高額になることや、治療の効果がまだ一般に周知されていないことが、判断基準として少し弱い原因になっているのかもしれません。

 

意外なことに、「書籍を出版、テレビ出演などの実績が多い」はわずか1.0%。知名度を上げることには有用なメディアも、それがすぐに患者への信頼感につながるというわけではないことがわかります。患者の信頼を得るには、日々の地道な活動が必要となるのです。

患者は「たくさんの医療情報」を知りたいわけではない

さて、回答の中では「治療の実績が多い」と「知りたいことや不安を解消する情報が多く掲載されている」が多くの支持を集めましたが、医療機関のWebサイトはそこにだけ力を入れれば十分だというわけではありません。患者の心理をよく理解することが重要です。

 

患者は「たくさんの医療情報を知りたい」わけではありません。あくまで「自分が得たい情報をたくさん知りたい」と考えているのです。医療機関のWebサイトでは、どうしても医療機関の目線から自分たちに提供できる情報をコンテンツとして取り扱うことが多いようです。しかし、患者のニーズに応えるには、情報の見せ方や伝え方に工夫が必要です。考えられる工夫としては、治療に関する情報を一つのストーリーとして患者に伝える方法があります。

 

自由診療である最先端のがん治療を例に考えてみましょう。

 

がん治療には、効果は認められているものの、国内では未認可のため自由診療として扱われる治療法が存在します。また、重粒子線治療といった最先端の設備を使った治療方法も最近では注目を集めています。こうした「最先端と思われる治療を行っている」ことや「治療機器の設備が整っている」ことは、がん治療を求める患者にとって大変有効な情報です。

 

しかし、なぜその治療方法が必要とされるのか、どんな患者にその治療方法が適しているのかを明確に伝えることが求められます。

 

次に求められるのは、効果があるとわかった治療の「費用や治療法を明確に示す」ことです。特にがんは一度の診療で完治する病気ではなく、入院や通院も必要となるため、治療にかかる費用や要する期間といった、現実の問題への丁寧な説明が求められます。「先進医療」と認定されている治療方法であれば、混合診療(保険診療と保険外診療の併用)が可能になるなど、医療機関だからこそ伝えられる情報があるはずです。

 

そして、その治療方法の効果を示す意味では、「治療の実績が多い」ことや「院長や先生のプロフィールが詳しく掲載されている」ことは大きな意味を持つでしょう。Webサイトの情報やコンテンツが別々に作られていたとしても、それを受け取るのが一人の患者である以上、流れの中でわかりやすく伝える努力が医療機関には求められるのです。

患者が理解できるよう、筋道を立てて伝える工夫が必要

患者が求めるのは医療機関と信頼関係を築くことです。なぜなら、それが完治への一番の近道だと知っているからです。

 

実際の診察では一度の説明では患者の理解が難しいことも、Webサイトの情報やコンテンツとしてなら何度も説明しなおすことができます。

 

また、そのコンテンツや情報において、患者にとってどの部分がわかりづらいのか、伝わりづらいのかを確認しながら、情報やコンテンツの補足や修正が行えるのがWebサイトの強みでもあります。

 

医療機関が患者の信頼を獲得し、選ばれていくためには、患者の理解のために情報を制限するのではなく、患者が段階的に理解できるように筋道を立てて伝える工夫が求められるのではないでしょうか。

 

株式会社幻冬舎ウェブマ 代表取締役社長

2017年4月より現職。

大学卒業後、IT企業にてTVCMやモバイル広告をメインとした広告宣伝に従事。

2008年に企業や医療機関のブランディングに特化した出版サービスを提供している幻冬舎メディアコンサルティングに入社。顧客のターゲット目線によるコンサルティング力をもとに、 書籍やWEBを活用したブランディングを得意している。 大手上場企業の他、医療法人や個人クリニック、中小企業や学習塾、士業まで 幅広いプロデュース実績がある。

https://www.gentosha-webma.com/

著者紹介

連載患者が集まるクリニックを作る――最新「医療広告」の作成&発信術

 

 

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