今週(9/25〜9/30)の国際マーケット展望をお届けする。24日に米国の対中制裁関税(2,000億ドル)が実施され、中国も報復関税(600億ドル)を発動。中国がさらなる報復手段として米国債売却に乗り出すとの一部観測があり、米国債(長期債)の利回りに注目が集まる。為替市場では、米国債利回り上昇が米ドル支持要因となるも、日米貿易摩擦への懸念から円高警戒を招き、ドル円は拮抗からじり高の展開を予想。米国経済に引っ張られる形で好調の株式市場だが、半導体市況の悪化とブレグジットの不透明感は懸念材料である。

今週(9/25〜9/30)の国際マーケット展望

 

・米中貿易戦争…中国が報復措置として米国債の売却を検討との観測があり、米国債(長期債)利回りへの影響に注意。

 

・為替市場…米国債利回りの上昇が米ドル支持要因となるも、米国が日本へも貿易に関して圧力をかけると見られることで、円高警戒もあり、ドル円は拮抗するもじり高を予想。

 

・株式市場…米国経済の堅調さに引きづられ概ね好調も、半導体市況の悪化、ブレグジットの不透明感は懸念材料となっているか。

 

米中貿易戦争 米国債(長期債)の利回りに影響も?

24日、トランプ米政権は対中制裁関税第3弾(2,000億ドル・10%)を実施し、中国も報復関税措置(600億ドル)を開始した。一部では、中国が報復措置として米国債の売却に乗り出すとの観測も出ているが、理由はともかく、これは米国債、特に長期債の利回りに影響がじわりと出てくるのではないか。

 

10年米国債の利回りは、先週は横ばいの3.06%で取引を終えたが、米国債利回りの水準と見通しは、世界経済や新興国を含む相場にとって重要である。注意を払っておきたい(前稿『米国債売却!? 中国への「制裁関税」で想定される2つのシナリオ』参照/関連リンク)。

為替市場 ドル円は拮抗しつつも「じり高」の展開か

長期債利回りの上昇は、本来、米ドルの支持要因となりうる材料である。しかし、ドル円為替に関していうと、25日に第2回日米通商協議(FFR)が茂木経済財政相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の間で行われること、26日開催予定の日米首脳会談でも、日米間の貿易不均衡の是正に向けて米側が圧力を強めることへの警戒感が高まることで、円高への動きを警戒する参加者も少なからずいることから、動きづらい展開となるだろう。筆者は、ドル円に関しては、引き続きじり高の展開を予想している。

株式市場 概ね好調も半導体市況とブレグジットに懸念

株式市場は、先週、米国経済の堅調ぶりを背景に、ダウ平均が連日最高値を更新してきた。一方で、ナスダック総合は、半導体市況の悪化観測から同業種の企業を中心に反落したため、高値更新の勢いは削がれている。規制緩和と投資拡大期待から、今年の堅調な相場を一貫して支えてきた中小型株・新興企業株への選好に変化があるかどうかを見極めたい。

 

米国株式市場を追う形で、日本株式市場も、日経平均で節目である24,000円や、今年1月の高値が視野に入るところまで上昇した。相場には、不透明感を漂わせる材料もあるが、企業業績の好調と資本投資の拡大期待を背景に、高値を試す展開は十分ありうるのではないか。

 

欧州株式市場も、同様に、先週は英FT100が値幅を伴って3日続伸、独DAX30も4日続伸と、米国株式市場に引っ張られる形での上昇が続いた。ただ、ブレグジット協議に関して、メイ英首相が先週、「EU離脱に関しては、悪い合意をするくらいなら合意しない方がよい」などと、協議の行き詰まりへの苛立ちを露わにしたことで、欧州経済への悪影響を懸念する見方が浮上していることに注意しておきたい。

 

引き続き、米国経済の堅調さが株式市場や米ドルの支持要因となる一方で、貿易摩擦や一部新興国通貨の足元のふらつきがリスク回避要因という市場の図式は変化がない。このなかで、株式はじり高、為替は米ドルじり高での展開を予想する。

 

 

 

長谷川 建一

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) CIO

 

 

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    本稿は、個人的な見解を述べたもので、NWBとしての公式見解ではない点、ご留意ください。

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