国企改革が「盛宴・現金支払機」になっている!?
前回に引き続き、国有企業の問題点について見ていく。
第2の問題は、政府の国企に対する管理監督機能が失われており、国有資産が流出、国企幹部の腐敗汚職が絶えないということだ。ある中国の識者によれば、国企改革の過程で「假公済私」、公の名を借りて私腹を肥やす汚職が蔓延、「国有企業」を「官有企業」に異化させて、官僚が国有資産の支配権を詐取するなど、国企改革が国有資産をこっそり山分けする「盛宴・現金支払機」になっている。
特に多くの国企が独占的な巨大既得権益集団となって政府にも対峙、しばしば「国計民生」、国家経済、人民の生活を口実にして、政府を「拉致」し、労働者、消費者、納税者、ひいては社会の環境を犠牲にする代価を支払って、社会全体の改革を阻んでいるとの批判が絶えない(2015年5月26日付天涯論壇)。
国有企業はまさに腐敗の「重災区」
中国当局が公表しただけでも、2014年初から15年前半にかけ、115名の国企のトップが腐敗汚職の嫌疑で取り調べを受け、または拘留されて“落馬”、失脚した。中石油、中石化、華潤、中国南方航空公司等一連のグローバル企業が含まれており、何れも共産党高級幹部でもある。
また、巨大な予算を基に独占的地位を持つエネルギー関係の国企幹部が24人と、全体の5分の1以上で最も多いという。最も経済規模が大きく、国企も多い広東省を見ると、2012年から15年1月にかけ摘発された国企関係者1075名、調査対象者の13.6%にのぼる。うち賄賂が635名と最も多く、次いで汚職329名、公金横領67名等、この中には、中国移動通信広東有限公司総経理、南方電網国際有限責任公司元董事長、南方航空副総経理等が含まれる。
また、2014年353名のうち、37.7%にあたる133名が(副)董事長、(副)総経理といった幹部で、国企はまさに腐敗の「重災区」になっている(広東省検察長、2015年3月17日付羊城晩報)。こうした状況に対し、中国学者も、「権力の独占と資源の独占に依拠する国企が腐敗汚職の温床となるのは必然で、全く意外なことではない」と指摘している(2015年5月19日付自由亜洲台等)。