今回は、グランビルの法則から、売りシグナルについて解説します。※本連載は、小次郎講師(本名・手塚宏二氏)の著書『移動平均線 究極の読み方・使い方』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、シンプルかつ再現性のある投資の勝ち方について解説していきます。

下降トレンドがまだ継続するなかでの戻りは「売り場」

売りシグナル①について

 

これは前項の買いシグナル①の逆で、最も典型的なデッドクロスです。まず、移動平均線がしばらく上昇していること。次に、その移動平均線が上げ止まりを予兆させるものであること。この2つが大前提であり、その条件がそろっている状態で、移動平均線の上にあった価格が、移動平均線を下向きにはっきりとクロスする形になったときが、最大の売りのチャンスになります(図表1)。

 

[図表1]売りシグナル① 典型的な売りサイン

 

グランビルの法則のなかでは、前項の買いシグナル①のゴールデンクロスとこのデッドクロスがメインですので、ここだけは正確に覚えておいてください。

 

売りシグナル②について

 

これは前回の買いシグナル②の逆です。一見するとゴールデンクロスに見えるのですが、ゴールデンクロスではありません。正しいゴールデンクロスになるためには、移動平均線が横ばい状態になるか、少し上昇基調に転じるという前提が必要です(前述した買いシグナル①参照)。加えて、価格が下から上へとはっきりとクロスしなければなりません。

 

このケースでは、移動平均線がまだ下降しているなか、価格が移動平均線の上にいくという形です。これは、下降トレンドがまだ継続するなかでの戻りであり、買い場ではなくむしろ売り場になります(図表2)。

 

[図表2]売りシグナル② だましのゴールデンクロス(売りサイン)

 

ただ、買いシグナル②で書いたのと同様に、こうしたケースでは移動平均線と価格が何度も交差を繰り返すパターンがよく見られます。そして、やがて上昇に転じてしまうこともあります。つまり、戻り売りのチャンスなのかトレンドの転換点なのかは紙一重ですから、大きく取るために強くいける場面ではないということです。

下降力を弱めた相場が再度下降を開始したらチャンス

売りシグナル③について

 

これは前項の買いシグナル③の逆です。

 

下降トレンドにあるとき、価格が下降力を失うと、価格と移動平均線は間隔を徐々に縮めていき、逆に価格が下降力を強めているときは、価格と移動平均線の間隔が徐々に広がっていきます。

 

つまり、下降トレンドのときは、価格と移動平均線の位置関係を保ったまま、価格が移動平均線に接近したり離れたりするわけですから、このケースは、一度、下降力を弱めた相場が再度下降を開始したことを意味し、売りのチャンスだといえます(図表3)。

 

[図表3]売りシグナル③ 戻り売りのサイン

 

売りシグナル④について

 

これは前項の買いシグナル④の逆です。上昇していた価格が急騰するなどすれば、価格は移動平均から乖離することになりますが、通常、そうした状態はいつまでも続くものではありません。急騰した相場はいずれ反落します。それにより価格は、移動平均線に近づきます。

 

ここでは、買いシグナル④と同様に、価格が移動平均線から一定以上乖離した後、移動平均線に向けて戻ってくる性質を利用して、売買のシグナルにするものです。

 

急な上げに対する一時的なリバウンドという位置づけですから、通常は大きな値幅を取れる場面ではありません。ただ、トレンドの最終局面で大きな乖離が出たときは、そこが天井になり、その後、下降トレンドに入るというパターンもあります(図表4)。

 

[図表4]売りシグナル④ 急騰後の売りサイン

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本実業出版社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

移動平均線 究極の読み方・使い方

移動平均線 究極の読み方・使い方

小次郎講師

日本実業出版社

株式投資やFX投資などで移動平均線は最も基本となるテクニカル指標ですが、通常の使い方では当たるときもあれば外れるときもあり、実際の相場でそのまま活用できるものではありません。 本書では著者が移動平均線について長年…

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