「自己責任」が強く要求される仮想通貨投資
投資先として徐々に人気を集めている「仮想通貨」ですが、株や為替などとは大きく異なる点があります。仮想通貨は、その非中央集権的性質や法整備が行き届いていないことから、多くの面で「自己責任」を強く要求されるのです。従来の投資商品と同じ感覚で投資を始めると、思わぬ損失を被る可能性もあります。そこで今回は、仮想通貨投資におけるリスクについて解説します。
2017年4月1日、「資金決済に関する法律 第三章の二 仮想通貨」、通称「仮想通貨法」が施行されました。これにより、国内の仮想通貨取引業者が所有する金銭または仮想通貨は、利用者のものと分別管理するように決められています。この分別管理すら果たせていない取引所は、仮想通貨登録業者として認められないわけです。
しかしながら、取引業者の資産と分別管理されているからといって、盗難・紛失の補償が受けられるわけではありません。bitFlyerなど数社が提供している補償制度も、あくまで取引所側が任意で用意しているものです。また、補償が適用される範囲や金額も部分的なものに留まっているというのが現状です。
つまり、ハッキング被害や取引所の倒産といったことが起きたとしても、資産が全額保証されるとはいえないのです。仮想通貨の銀行口座のように、取引所口座を使用することには大きなリスクがあるわけです。
堅牢な「ウォレット」も誤作動や紛失には注意が必要
多くの金銭や仮想通貨を取引所の口座に置いたままにしておくと、大きな危険性がつきまとうことはご理解いただけたかと思います。
このリスクを軽減するためには、1つの取引所ではなく、複数の取引所口座を持っておくといいでしょう。倒産やシステム停止などが発生した場合、円建て取引できる口座が1つしかないのはリスキーです。
また、取引を行わず、長期間仮想通貨を保管する際には、「ウォレット」と呼ばれるソフトウェア、つまり「自分の財布」に移動させておくことをおすすめします。
特に、小型端末とウォレットソフトウェアが一体化した「ハードウェアウォレット」は最もセキュリティが高いといわれており、高額保有者に人気があります。ハードウェアウォレットには種類がいくつかあり、「Ledger」や「TREZOR」といったものが有名で、世界中で多くの人が使用しています。
ただし、この「ウォレット」を利用する際、補償は一切受けることができません。セキュリティ上、ウォレットのパスワードは開発者でさえ確認できないのです。そのため、誤って別のウォレットに送金してしまったり、パスワードを忘れてしまい仮想通貨が取り出せなくなったりしても、誰も補償をしてくれません。使いこなすことができれば、非常に安全で便利なウォレットですが、「誤操作」「紛失」という点で大きなリスクがあります。
このように、取引所とウォレットのそれぞれにリスクが存在します。仮想通貨投資を行う際には、投資資金を一度に動かさない、全額を同じ場所に保管しないなど、常にリスク分散を心がけましょう。
ニルス
サイト制作、WEB広告、画像編集などを含む何でも屋事務員として働くサラリーマン