経営に失敗した際の「資金返還のリスク」がない
ベンチャーキャピタルで出資を受けるメリットは大きく5つあります。以下に順に説明します。
①資金返済リスクがない
企業経営に失敗し運転資金が底をついてしまったら、会社をつぶさなくてはなりません。その際に、銀行など金融機関からの融資を受けていた場合には、会社がなくなっても返済義務が残ります。
一方ベンチャーキャピタルによる出資を受けていた場合には、お金の借入は行っていないため、資金を返還しなくてはならないというリスクがありません。
②人的ネットワークを活用することができる
企業が成長してくると、本業の知識だけでは経営が立ち行かなくなっていきます。財務やIT、マーケティング、法務等に関する知識が本業以外の知識に該当します。
そうなってくると、ベンチャーキャピタルが保有している人的ネットワークが大いに役に立ちます。なかなかアプローチできない優秀な人材を紹介してくれることが多いので、足りない知識を補強することができます。
③経営ノウハウを活用することができる
ベンチャーキャピタルはさまざまな企業を成長へ導いています。企業を成長させるたびに、成長のために必要なノウハウを蓄積しています。
一方創業者は、経営を始めたばかりなので、経営ノウハウがあまりありません。ベンチャーキャピタルの経営ノウハウが注入されることで、事業を正しい方向へ加速させていくことができます。
中小規模の企業であっても、億単位の資金調達が可能
④ディスカッションによるブラッシュアップができる
ベンチャーキャピタルから出資を受けると、週に1回ぐらいのペースで、ベンチャーキャピタルとディスカッションを行うことになります。目の前のことに精一杯となりがちな経営者の考えや方針を、このディスカッションで正しい方向へ修正させることができます。
税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を提供しているアカウンティング・サース・ジャパンでかつて代表取締役社長を務めていた佐野敏朗氏は以下のように語っています。
「(ベンチャーキャピタルの社外取締役と)1週間に1回経営ディスカッションをしていて、(中略)進捗や今後やっていくことを一緒に話しています。何かを持ち寄るわけではないのですが、投資家としていろいろな会社を見ているので、非常に視点が高いんです。
私自身、事業をやっているので、どうしても目の前のこと――明日の売上がどうなるかとか、いかに費用を削減していくかみたいな話――を考えていると、非常に目線が下がっていってしまいます。そこをディスカッションすることによって、目線をぐっと上げてもらっていますね」(資金調達の情報サイト「資金調達プロ」より)
⑤資金提供の大きさ
ベンチャーキャピタルからの出資は、ラウンドが上がるごとに調達額も大きくなってきます。4~5億円という金額はよくある話です。中小規模の企業が銀行からなかなかこのような大きな資金を借りることは難しいでしょう。