前回は、企業への経営支援を行う組織「ベンチャーキャピタル」について解説しました。今回からは、ベンチャーキャピタルが支援の際に注目する、企業の「4つの成長段階」を説明します。

創業者が初めて出資を受ける段階の「シード」

①シード

 

シードは、創業者が初めて出資を受ける段階のことです。多くは起業資金としての調達です。

 

シードの資金提供者は、起業家を育成するプログラムを持っているところが多くなっています。そのプログラムに基づいて、起業家たちに経営のノウハウを教え込み、3カ月程度の期間でシードから卒業させるのが一般的です。

 

シードでの投資額の相場は300~500万円です。起業家側としては、この段階で投資家に持ち株の割合を大きく取られないことが大切です。この段階で10~20%以上の割合で株式を持たれてしまうと、その後のラウンドで他社からの資金調達が困難になります。

 

資金調達だけでなく、創業者なのに自由に経営権を行使することができないという事態にもなりかねません。留意してください。

 

②シリーズA

 

シードで、アイデアレベルだったビジネスプランを実現させるとシリーズAの段階になります。シードより大きな資金が調達できるようになるので、その資金を使って、さらに事業をブラッシュアップさせていきます。

 

経営者はとにかく時間がありません。あれもやりたい、これもやりたいという気持ちになりますが、事業にとって重要なものを見極めて優先順位を付け、優先順位の高いことを深掘りしていくことが、事業を拡大していくポイントです。

 

また、サービスや製品の改善には、お客様の声を反映させることが大切です。しかし、あらゆるお客様の声を聞こうとするのは非効率ですし、不可能と言えます。メインユーザーのニーズを優先的に実現することが重要です。

 

起業時のメインユーザーは、非常に大切なお客様です。絶対に手放してはなりません。メインユーザーの声を聞き、素早く、柔軟に改善を続けていきましょう。シリーズAの段階では、資金はそのために主に使います。

黒字化より規模の拡大が優先となる「シリーズB」

③シリーズB

 

シリーズAでお客様の声を聞きながら改善活動を繰り返し、商品やサービスの完成度がある程度高まります。そうなると経営陣も創業者である1、2名という体制ではなく、5名程度まで増やして層を厚くしておく必要が出てきます。この段階がシリーズBです。

 

シリーズAでは、得た資金を使ってビジネスモデルを固めていきました。シリーズBでは、将来性を強く意識します。何よりも大切なことは、投資家が数年後を予測したときに、自社の売上が大きく増加するイメージを与えられるかどうかです。黒字化よりも規模の拡大が優先されます。

 

シリーズBになると、調達額の相場は3~10億円になります。ベンチャーキャピタル1社による投資でまかなうことが難しくなります。そこで複数のベンチャーキャピタルがタッグを組んで投資を行うことになります。

 

なお日本ではシリーズBの卒業段階で、企業売却や株式上場というケースもあります。

 

④シリーズC

 

シリーズBを卒業して、もうすぐ売却や上場が可能なレベルがシリーズCです。シリーズC以降での資金調達は、商品やサービスの質を高めたり、企業の方向性を強めたり、ビジネス成長の加速度を高めたりするために行われることが多くなります。

 

資金調達額がシリーズBより大きくなるとともに、黒字化が強く意識されるようになります。

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