経営権を奪われるリスクがある、調達コストが高い・・・
メリットだけではありません。デメリットも存在しますので留意が必要です。大きく3つあります。順に説明します。
①経営権を奪われてしまう可能性がある
ベンチャーキャピタルからの出資は、第三者割当増資という方法を採るケースが多くなります。この方法は、今まで株式を持っていなかった第三者に、新たに株式を発行して出資を受けるというものです。
株式を増やすことになるので、創業者が持っている株式の割合が低くなります。株主総会による特別決議を拒否できる33.3%の割当を下回ると、創業者であっても自由に経営の決定ができなくなります。
②調達コストが高い
銀行からの融資であれば、低い利率の利息を返せば問題はありません。一方、ベンチャーキャピタルからの出資は、ベンチャーキャピタルが大きなリスクを背負っている分、上場時の多額な売却益や定期的な配当によって、お金を還元していかなくてはなりません。
結果的に調達コストが高くなります。前述した通り、多くのベンチャーキャピタルは、5年で10倍の利益を目標としています。
③投資資金回収が義務付けられる
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、以下の2つが期待されることになります。
① 他の企業へ自分の会社を売却する。
② 株式市場へ上場する。
ベンチャーキャピタルは、慈善事業でお金を提供しているわけではありません。リスクを持っている分、成功した際には相応の報酬を要求します。その報酬が上記2つのいずれかの方法による株式の売却益なのです。
これは、ベンチャーキャピタルから得た資金の回収が義務付けられているということです。失敗しても返却する必要はありませんが、成功したときには必ずリターンを返さなければなりません。
ベンチャーキャピタルから出資を受ける4つの方法
ベンチャーキャピタルから出資を受けるためにはどうすればいいでしょうか。それには大きく4つの方法があります。以下、それぞれについて見ていきましょう。
①ベンチャーキャピタルに問い合わせをする
ベンチャーキャピタルに電話をしたり、ホームページから問い合わせたりすることは、かなり初歩的な方法ですが、実は何億もの資金出資を受けている企業も行っていることです。気になるベンチャーキャピタルがあれば、片っ端から問い合わせをして接触を試みましょう。
まだシードの段階だとしても、シリーズA向けのベンチャーキャピタルに接触しても構いません。相談したい旨を伝えれば、少しの時間かもしれませんが、ベンチャーキャピタルは時間を確保してくれるはずです。
②自分のネットワークを使う
創業者が直接アクセスできる人的ネットワークはまだ弱いことが多いのですが、友人・知人や先輩、上司にベンチャーキャピタルとつながっている人がいる可能性があります。自分には人的ネットワークがないと嘆かず、周囲の人に積極的に聞いて回りましょう。
③ピッチコンテストに参加する
スタートアップ企業を対象にした「ピッチコンテスト」と呼ばれるプレゼンテーション大会が、さまざまな場所で開催されています。著名な経営者や投資家の前で、自分の会社の商品やサービスのプレゼンテーションを行うイベントです。
プレゼンテーションの質が高ければ、経営者や投資家の目に留まり、出資へとつながることも多いようです。短時間で自社の想いや商品・サービスの将来性を伝えることができるかがポイントです。応募自体はハードルが低いので、ぜひチャレンジしてみてください。
ベンチャーキャピタルが主催しているイベントも多くなっています。ベンチャーキャピタルも自分の足で出資先を探すより、ピッチコンテストを開催するほうが、将来有望な出資先と出会える確率が高まるからです。
ピッチコンテストや投資家の集まるカンファレンスを定期的に行っている団体を紹介します。
● サムライベンチャーサミット
● Infinity Ventures Summit(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)
● TechCrunch Tokyo
● Mashup Awards
● THE BRIDGE Mixer Tokyo
④イベントや交流会に参加する
イベントのとりまとめと言えばFacebookでしたが、それ以外にもイベントを紹介するキュレーションサイト等が数多く登場してきました。イベントの中には、スタートアップ企業を対象としたものも数多くあります。
そのようなイベントで多くの人と知り合いになると、事業連携につながったり、新たな気づきを得られたりすることが多いものです。「スタートアップ向けイベント」で検索すると、イベントのまとめサイトや個別のイベントがいくつも表示されます。