「資金調達」というと、起業家・経営者の多くは銀行等の金融機関を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、近年ではその方法も多様化しています。本連載では、「ベンチャーキャピタル」を活用した資金調達の方法について、そのメリット・デメリットも含めて解説します。

成長する企業に資金を供給し、経営支援を行う組織

ベンチャーキャピタルとは、これから成長していく企業に対して、自社の資金を供給し、保有している経営ノウハウや人的ネットワークを活かして経営支援を行う組織のことです。

 

資金供給合意を得るまでにも、その企業に対してあらゆる側面からアドバイスしてくれます。経営者を送り込んで経営に関わる支援をすることもあります(これを「ハンズオン支援」と言います)。

 

企業の成長段階において、必要な調達資金の額は異なってきます。ベンチャーキャピタルによって、スタートアップと呼ばれる創業したばかりの企業への出資に特化したものもあれば、ある程度成長した段階で億単位の出資を行うものもあります。

 

ベンチャーキャピタルが出資をする目的は大きく2つに区分されます。

 

●出資した企業が、他の企業に自社を売却するときに発生する売却益

●出資した企業が株式市場へ上場したときに発生する売却益(第三者割当増資による利益)

 

多くのベンチャーキャピタルは、5年で10倍の利益を目標としています。出資の検討をする際には、目標とする利益率を中心に、現在の会社の価値と将来性を加味して判断します。そのため、あなたの会社の価値と将来性をかなりシビアに分析します。

企業の成長段階「ラウンド」により、出資金額も変化

ベンチャーキャピタルが出資額を決める際には、企業の成長段階をチェックします。企業の成長段階を「ラウンド」という用語で表現します。

 

たとえば「私たちの企業はシリーズBラウンドまで完了している」という言い方をします。詳しい人であれば、「シリーズAラウンドであれば、このくらいの資金調達をして、まだ成長段階の企業なんだな」ということがほぼ分かります。

 

会社の成長段階は、シードラウンドから始まり、シリーズAラウンド、シリーズBラウンド、シリーズCラウンドと上がっていきます。それにつれて、会社が必要とする資金額も増え、ベンチャーキャピタルが出資する金額も大きくなります。

 

なお、シリーズ○ラウンドの「ラウンド」は省略されることが多いです。シードラウンドについては、「ラウンド」を省略する人もいれば、省略しない人もいます。本連載では、このあとは原則として「ラウンド」を省略します。

 

製品やサービスを公開して利用者が増えていくと、会社はさまざまな施策を実行に移さないといけません。利用者に対して付加価値を提供するスピードを上げていかないと、ビジネスの成長が止まってしまいます。

 

さまざまな施策を実行するためには、優秀な人材を獲得する必要がありますし、ITに対して投資を行う必要も出てきます。会社の規模が大きくなるほど、必要な資金も増えていくということです。

 

ベンチャーキャピタルから出資を受けている企業は、ベンチャーキャピタルに対して出資に対するリターンを支払うために、株式市場への上場や他の企業への事業売却をしなければなりません。ラウンドが上がるにしたがって、上場や売却の段階に近づいていると言えます。

 

次回からはラウンドについて、具体的に説明をしていきましょう。

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