ベストな売りタイミングは、もちろん「最高値」だが・・・
前回では、テクニカルな部分にも触れつつ「売り」のタイミングについてお話しました。ここでは、もう少しメンタルな部分に焦点を当てて「売り」のタイミングを考えたいと思います。
ベストな「売り」のタイミングとは、最高値で売ることでしょう。売った直後から株価が下落すれば、「ああ、いいタイミングで売れた」と心置きなく取引を終えられます。利益を最大限確保できたことはもちろん、精神的な満足感が大きいのではないでしょうか。
ただ、テクニカルを駆使しても、最高値をピンポイントで予想することは難しいのが現実です。そこで、相場格言の「頭と尻尾はくれてやれ」にあるように、ほどほどのところで売って利益を確保したほうがいい、ということになります。
とは言え、売った後にどんどん上がると「なぜ売ってしまったのか」と後悔することもあるでしょう。もちろん、なるべく利を伸ばして売れるように、ローソク足やチャートをよく分析して、売りの根拠の精度を上げていくことが何より重要です。と同時に、「これは、笑って済ませられる後悔なのだ」と意識を変えたほうが気が楽になると考えます。
「儲け損ね」は、笑って終わりにできる後悔
儲け損ねて悔やむ人にぜひ覚えておいて欲しい言葉が、『本間宗久相場三昧伝』の中にあります。それは「後悔に二つあり」です。
ひとつは、すでに述べたとおり、儲け損ねたことによる後悔です。『本間宗久相場三昧伝』の中では、「あと5~6日待っていれば十分に利益が得られるものを、勝ちを急いだために2~3分取り逃がした後悔だが、これは笑って終わりにできる後悔だ」と続きます。
となれば、もうおわかりかもしれませんが、もうひとつの後悔は売りのタイミングを逃して損失を被った場合です。「7~8分の利益が乗っていたのに、まだまだと欲をかいて売らないうちに下落に転じて損が出てしまう後悔で、こちらは苦労した末の後悔となり慎みたいものだ」と書かれています。
「儲け損ない」と「欲をかいた挙句の損切り」、どちらの後悔のほうがマシか考えるまでもありません。「儲け損なった」と後悔したときには、「でも、これは笑って済ませられる後悔だ」と思えば、気持ちも楽になるのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、利益を十分に狙えるように、買いと売りのタイミングの精度を上げていくことも忘れないでください。
ここでは、山崎製パンのチャートを紹介します。売りのタイミングが早すぎた場合と利益を狙い過ぎて売りが遅れて損失が出てしまった場合、このチャートでは両方の例を見ることができます。
[図表]山崎製パン(2212)