相場格言に学ぶ株式投資②「人気先走り」「知ったら終い」

前回は、有名な相場格言である「利食い千人力」「見切り千両」から、「売り」の大切さを説明しました。今回は、「人気先走り」「知ったら終い」等の格言から、売りのタイミングの見極め方について考察します。

株価に影響する材料は、早くに株価へと織り込まれる

株式投資の世界では、株価に影響を与えるような材料は、早め早めに株価に織り込まれていくのが常です。たとえば、「こんなすごい新製品が出ますよ」というニュースが発表されたら、実際に発売される前に期待や人気だけで株価が上がっていくということです。

 

こうした状況を表す相場格言が「人気先走り」です。期待を織り込みながら株価は上昇していきますから、「絶好の買い場」と考える人もいるかもしれません。しかし、私は逆に「売り場探し」の局面と考えます。

 

なぜなら、実際に新製品が発売された際には、人気が出た根拠というのはもう株価に織り込まれてしまっているため、そこからは株価上昇が見込めないからです。

 

そうは言っても、画期的な商品で業績の拡大に寄与するといった流れになれば、さらに株価は上昇する可能性もあります。しかし、それでも一旦は「材料出尽くし」となって株価が下がることのほうがよくあるのです。

人気が行き過ぎたら、必ずその後で「大きく下落」

「噂で買って事実で売る」あるいは「知ったら終い」という相場格言もあるように、人気が行き過ぎたときには必ずその後で大きく下落します。特に、新興市場の銘柄ではその傾向が激しく、三空、四空で止まらないほど下落することもあるのです。

 

そこで、みんなが「この銘柄はいい」「これは買いだ」と言って、株価が上昇しているときにこそ「売り」を考えるべきだと言えるのです。「人気先走り」の例はいくつもありますが、典型的なのが「PokémonGO」ブームのときの任天堂と言えるでしょう。

 

また、「順鞘は売り」という相場格言もあります。「大逆鞘は買い」の反対で、「人気先走り」と同様に、期待先行で株価が上がっている状況を指します。順鞘とは、先物取引で期日の近いものより先の期日のもののほうが価格が高い状態のことです。つまり、「先に行くと高くなるのではないか」という意識が働いている相場ということです。

 

今後、上昇すると思われるためみんな今のうちに買おうとするわけですが、「先々高くなる」ことはすでにみんなが知っている情報です。そのため、株価には織り込み済みになっている可能性が高いのです。

 

ということは、「今から買おう」ではなく、「買われ過ぎているのではないか」という発想をするべきです。買われ過ぎていると考えるなら、「ここは売りのタイミングだ」と考えたほうがよいということです。その銘柄を保有していなければ、当然、このタイミングで買いを検討するのはやめたほうがよいでしょう。

チャートで見る「人気先走り」の例

「人気先走り」「順鞘は売り」の例としては、2016年12~1月にかけての大塚ホールディングスのチャートを取り上げます。大塚ホールディングスは、12月9日以降大きく値を上げましたが、この上昇は大塚ホールディングスが日経平均構成銘柄に採用されるのではないかという期待によるものです。

 

17年1月24日にミツミ電機とミネベアが経営統合することになり、日経平均構成銘柄に1つ空きが出るため、大塚ホールディングスを含むいくつかの銘柄の名前が上がり、注目が集まりました。日経平均構成銘柄に採用されれば、機関投資家や年金資金、インデックスなどの買いが入り上昇が見込めるということで、先回りの買いが入ったのです。

 

1月6日の引け後に、新たな日経平均構成銘柄として大塚ホールディングスの採用が発表されると、翌営業日の10日には大幅に上昇して年初来高値を記録。しかし、その後は下落に転じて、実際に日経平均構成銘柄に採用される前日の1月23日までに高値から600円以上も値を下げてしまいました。

 

[図表1]大塚ホールディングス(4578)

 

 

これはまさに、日経平均構成銘柄に採用されるという期待先行で買われ過ぎていたから起きた現象です。そう考えると、急上昇の過程はやはり「売り」を検討するタイミングだったと言えるのです。

 

では、日経平均構成銘柄の候補になって採用されなかった場合はどうでしょうか。大塚ホールディングスと同時期に候補になったセイコーエプソンのチャートも見ておきましょう。

 

セイコーエプソンも、大塚ホールディングスと同様に候補だというニュースが出て大きく上昇。しかし、大塚ホールディングスに決まったことが発表された後は窓を空けて急落しています。つまり、日経平均に採用されてもされなくても、期待先行で上昇した分、結局は下がってしまっているのです。

 

ただし、日経平均構成銘柄の候補になった銘柄が常に同じような値動きになるとは限りません。たとえば、16年に同様に候補になったヤマハ発動機の場合は、採用期待がそれほど大きくなかったことからあまり上昇せず、実際に採用が決まった後に株価が大きく上昇しています。

 

「人気先走り」は、どの程度人気が先走っているのかを総合的にとらえる必要があるということです。なお、セイコーエプソンは、その後東芝の代わりに日経平均構成銘柄に採用されると言われて再び上昇し、7月10日に採用が決定。8月1日から実際に日経平均構成銘柄となっています。

 

[図表2]セイコーエプソン(6724)

 

株式会社アルゴナビス 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、1983 年に大和証券入社。
ソシエテジェネラル証券、マネックス証券等を経て、2014年5月より株式会社アルゴナビスの代表取締役に就任、株式スクールを開校する。日系証券と外資証券、ネット証券で広く営業やディーラーを経験したことによる高い専門知識と、「江戸の米相場」の独自研究に基づいた相場観測や投資戦略で多くの投資家の成功をサポートしてきた。
CS テレビ「日テレニュース24」「日テレニュース24TOKYO」、MX TV・三重テレビ放送ネット「TV ストックボイス生中継」出演。オンラインコラム「ダイヤモンドザイオンライン『株』のとれたてニュース」、「辛口放談」連載中。『江戸の賢人に学ぶ相場の極意』(パンローリング)『DVD でわかる! 儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ出版)ほか多数の著書あり。

著者紹介

連載江戸のウォーレン・バフェットに学ぶ! 株式投資「売り」の極意

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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