相場格言に学ぶ株式投資③「二割三割向かう理と知れ」

前回は、有名な相場格言である「人気先走り」「知ったら終い」等の格言から、売りのタイミングの見極め方を解説しました。今回は、「二割三割向かう理と知れ」等の格言から、「ほどほどのところで売っておくべき」という考え方について検証します。

早く売って儲け損なっても、利食いできていればよし

江戸の相場格言には、数字を挙げて売買のタイミングを指示している箇所があります。たとえば、「二割上がれば十中八九下落する」。これは、2割上昇すれば8割、9割の確率で下落するということです。

 

また、「二割三割向かう理と知れ」は、正確には「高下とも五分、一割にしたがいて、二割、三割は向かう理と知れ」という格言で、5%、10%の上昇には付いていっていいが、2割、3割上がった相場は必ず下がるものだ、ということを述べています。

 

具体的な数字は出てきますが、ここで見るべきは2割や3割といった数字自体ではありません。なぜなら、米相場と株式相場ではそもそも多くの点が異なり、また株式相場でも市場環境や個別銘柄の状況によってどこまで上がるか、どこまで下がるかは変わってくるからです。

 

では、これらの相場格言から何を学べばよいのかといえば、具体的な割合ではなく「行き過ぎた相場は必ず下落するものだ」ということと、だからこそほどほどのところで売っておくべきであるということです。利益が出ているときに売っておけば、それが100円でも200円でも300円でも儲かったことには変わりありません。

 

「早く売り過ぎて儲け損なった」と思うこともあるかもしれません。しかし、損をしたわけではなくあくまで利食いできているので、それでよしとすればよいのです。

 

ネット証券の場合、現在は非常に手数料が安くなっているので、儲け損になったことがどうしても気になるのであれば、再エントリーという手もあるでしょう。その結果、最初は100円の利益確定、再エントリーでは30円の損切り、トータルでは70円の利益になったとしても、最終的にはプラスでその銘柄の取引を終えられているので、ほどほどには成功したと言えるのではないでしょうか。

いちばん簡単な上値の目安は「前回高値」

すでに述べたように2割や3割などといった相場格言の中の数字には、あまり意味はありませんが、「ほどほどのところ」とは一体どの程度だと考えておけばよいでしょうか。実際には、買ったタイミングや買いの根拠が重要になってきますが、ここでは「上値の目安」ということでいくつかヒントを出しておきたいと思います。

 

まず、上値の目安でいちばん簡単なのは「前回高値」です。前回の高値くらいまでは戻ることはよくあるので、そこを目安としておくという考え方です。高値に挑戦して、高値を抜けなかったら下げに転じる可能性があるので、そこで売るというパターンもあります。

 

また、新高値をつけた銘柄の場合は、「前回高値」という目途はもう効きません。その場合は、「前回の上昇幅」が目安になる可能性があります。ただし、新高値を付けるときはすでに「買われ過ぎ」になっているケースも多い点には注意が必要でしょう。

 

もうひとつ、上値の目安としてよく言われるのは「移動平均線からの乖離」です。移動平均線からだいぶ上に離れてしまったと思ったら、売りタイミングの目安になります。もし、利益確定ではなく損切りの場合は、移動平均線を下に乖離した場合が目安になったり、あるいはもっと手前の移動平均線を割ったらもう売ってしまうというのもあります。

 

こうした上値の目安となるパターンをいくつも覚えておけば、下げに転じる前にしっかり利益確定ができるようになるのです。ここでは、「前回の上げ幅が目安になる」という例で、少し長い期間になりますが花王のチャートを見ていきたいと思います。

 

2016年11月15日に安値を付けて、そこから押し目を挟みながら3月下旬あたりで6000円を付けていて、約1000円上昇しています。次の上昇局面は4月17日の約6000円から始まっていますが、前回と同じ上げ幅だとすると6000円+1000円で7000円くらいが目安ではないかと考えられます。

 

そして、実際に6月7日に7178円という高値を付けて、下落に転じました。ですから、前回と同じ上げ幅のところで売っておけば、どこで買ったかにもよりますがとりあえず利益を確保することができるというわけです。

 

この花王の例は、前回上げ幅ときれいに一致していて、かつ相場格言のまさに「二割上がれば」のとおりとなりました。当然ながら、常にこのような結果になるとは限りませんが、頭に入れておいて損はないパターンだと言えるでしょう。

 

[図表]花王(4452)

 

株式会社アルゴナビス 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、1983 年に大和証券入社。
ソシエテジェネラル証券、マネックス証券等を経て、2014年5月より株式会社アルゴナビスの代表取締役に就任、株式スクールを開校する。日系証券と外資証券、ネット証券で広く営業やディーラーを経験したことによる高い専門知識と、「江戸の米相場」の独自研究に基づいた相場観測や投資戦略で多くの投資家の成功をサポートしてきた。
CS テレビ「日テレニュース24」「日テレニュース24TOKYO」、MX TV・三重テレビ放送ネット「TV ストックボイス生中継」出演。オンラインコラム「ダイヤモンドザイオンライン『株』のとれたてニュース」、「辛口放談」連載中。『江戸の賢人に学ぶ相場の極意』(パンローリング)『DVD でわかる! 儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ出版)ほか多数の著書あり。

著者紹介

連載江戸のウォーレン・バフェットに学ぶ! 株式投資「売り」の極意

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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