初心者は最低限の情報さえつかめれば十分
前回、買いと売りの注文状況がわかる「板」(別名「気配」「気配値」)について少し触れました。
世の中には、板を重視している投資家がたくさんいます。確かに、板を見ればその銘柄を買いたい人がどれだけいて、売りたい人がどれだけいるかがわかります。ザラ場中に新たな注文が入ると、その値段の板が点滅します。激しく値動きしている銘柄の場合、板の点滅も激しく、板の上で投資家の心理戦が繰り広げられているのが見て取れます。
そのため、板は株価を分析する上で有効なツールといえますが、実際にやろうとすると、かなり上級テクニックが必要になります。板情報はめまぐるしく変動しますし、ときには「見せ板」といって、買う気もないのにわざと大口注文をぶつけることで、他の投資家を動揺させようという動きが見られることもあります。
よって、初心者が板を冷静かつ正確に分析するのは、非常に難しいことなのです。最低限に情報をつかめれば、それでもう十分と考えておきましょう。
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板の厚さから「取引が活発な銘柄」が分かる!?
そこで、ここからはごく基本的な板の見方をお話しします。
まず、板を見ると、どれだけ注目されている銘柄かどうかがわかります。例えば、みずほフィナンシャルグループは、常に活発に売買される銘柄ですが、「200円で買う」という注文が1000万株以上、「201円で買う」という注文も同様に1000万株以上入っている――といった状況が常態です。つまり、いつでも「板が厚い」のです。
これに対し、あまり注目されていない銘柄は、「200円で買う」という注文が100株(単元株は100株)、199円〜197円が空欄で、「196円で買う」という注文が100株――などという具合に、板がスカスカになっています。
このように、板の厚さから、取引が活発(株の世界では「流動性がある」といいます)な銘柄かどうかを、窺い知ることができます。
また、板には買い板と売り板がありますが、一般的に買い板が厚い(買い注文のほうが多い)ときは「買い気配」と呼ばれます。売り板のほうが厚いときは、「売り気配」です。買い気配のときは株価が上昇、売り気配のときは株価が下落することが多いというのが原則です。
ただ、売り気配でありながらも、しばらくしてから急に買い気配に転じ、高騰していくようなこともあります。このようなことが頻繁に起こるからこそ、板読みは難しいのです。
また、板の上に数字以外に「S」「特」などの文字が表示されることがあります。証券会社によって表示される文字は異なりますが、どちらも「特別気配」のサインです。
特別気配とは、買いか売りのどちらかで、すぐには売買が成立しないほど注文が殺到している状況のときに出現します。特別気配になると、買数量と売数量の注文数のつりあいがとれる位置まで、株価が自動的に上がって(下がって)いきます。従って、驚くほどの高値や安値がつくこともあります。
しかし、株価には「値幅制限」と呼ばれるものがあり、一日の変動幅は限定されています。変動幅のギリギリいっぱいまで上がったり下がったりすれば、それ以上に株価が動くことはありません。
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