規制が強い中国本土とは対照的!? 香港の仮想通貨事情とは?

自由度の高い金融市場で知られる香港ですが、仮想通貨はどのように取引されているのでしょうか。本連載では、香港における仮想通貨の取引の現状や規制を解説するとともに、香港の現地情報についてもご紹介します。※本連載は、小峰孝史が監修、OWL香港が執筆・編集したものです。

中国は2017年に「仮想通貨ビジネスの制限」を発表

数年前からBit Coinを中心に徐々に関心が高まってきた仮想通貨。その一方、消費者トラブルの発生、さらには、通貨高権(通貨を発行することのできる国家の権限)が侵されることへの国家権力の不安などから、仮想通貨を取り締まろうという動きも出てきました。

 

自由度の非常に高い香港ですが、仮想通貨についてはどうでしょうか?

 

2017年9月4日、中国人民銀行等が共同で、「トークン発行による資金調達のリスク防止に関する告知」を公布しました。この告知により、大きく、以下の2つが禁止されました。

 

●ICOを含むトークン発行による資金調達

●ウェブサイトによる、法定通貨とトークンの両替、仮想通貨間の取引、トークンの売買、清算機関としてのトークンの売買、価格設定、情報仲介等のサービス

 

[PR]  本稿監修者のセミナー&個別相談会を特別開催! <7月27日(土)@幻冬舎>
海外投資(金融資産・不動産)、海外移住・バイリンガル教育に関心がある方のための海外資産管理会社のつくり方・つかい方

 

 

この告知により、中国大陸での仮想通貨ビジネスが大きく制限され、この告知発表後、Bit Coinの価格も大きく下落しました。

 

香港では、これまで仮想通貨に関する規制はありませんでした。

 

香港に仮想通貨規制が存在しないことを最もよく表しているのは、Secretary of Financial Services and the TreasuryのK.C.Chan氏の以下の発言でしょう。

 

 

“Bitcoins are not widely circulated in Hong Kong and do not pose a significant threat to the financial system, so there is no need to introduce legislation to regulate virtual commodities trading or to prohibit people from participating in such activities.”

 

日本語訳すると、こんな感じでしょうか。

 

「ビットコインは香港で広範に流通しておらず、金融システムへの重大な脅威とはなっていないため、バーチャル商品取引を規制する立法したり、かかる行為に人々が関与することを禁止する必要は存在しない。」

一方香港は、新たな規制は行わず既存事項の再確認のみ

2017年9月5日、香港SFC(証券・先物取引監察委員会)は、ICOにより発行されたトークンにつき、声明を発表しました。

 

 

この発表された9月5日は、中国でICOを含むトークン発行による資金調達等が禁止された翌日というタイミングもあって、「中国大陸に続き香港でも、仮想通貨が禁止されるのか?」「ICOだけでなくプレセールも規制されるのか?」など懸念が一気に広がりました。

 

この声明の中では、以下の3つの性質を持つ仮想通貨は有価証券として規制されるとされました。(厳密に言えば、この3つの性質をもつものに限っている訳ではありません。)

 

1.仮想通貨が、会社の株式・持分を表す場合

2.仮想通貨が、会社の債務を表す場合

3.仮想通貨販売によって得た資金を一定の財物に投資し、得た利益を投資者に還元する場合

 

[PR]  本稿監修者のセミナー&個別相談会を特別開催! <7月27日(土)@幻冬舎>
海外投資(金融資産・不動産)、海外移住・バイリンガル教育に関心がある方のための海外資産管理会社のつくり方・つかい方

 

これは、仮想通貨に対して新たな規制を及ぼしているように見えるかも知れませんが、そうではないと思います。当たり前のことを再確認しただけです。

 

一番分かりやすい1(仮想通貨が、会社の株式・持分を表す場合)で考えてみましょう。

 

会社の株式・持分を、「XXX Limited、100株」などと書いて流通できるようにしたものが株券です。当然有価証券です。

 

もし、会社の株式・持分の「XXX Limited、100株」という内容を紙に書くのではなく、仮想通貨の上に表したとしたら、これは、株券ではないですが、内容的には同じく有価証券と言うべきでしょう。

 

つまり、1は株式、2は社債、3は集団投資スキームという、元々有価証券であり、仮想通貨の形式をとったとしても、有価証券の規制を免れられる訳ではありませんよ、と念押しをしただけ、とみるべきように思います。

 

新しいビジネスに対して、中国・香港の対比が改めて分かった2日間でした。

OWL香港 マネージング・ディレクター
弁護士

東京大学法学部卒業、オックスフォード大学経営大学院修了(MBA)
米系法律事務所(Sidley Austin法律事務所)の東京オフィス・香港オフィスで勤務。日系大手法律事務所(TMI 総合法律事務所)所属中、香港の C.P.Lin 法律事務所に駐在。2018年より現職。主として日本企業や日本の富裕層向けに、日本の税法等の法令を踏まえつつ香港の税制上のメリットを生かすよう、アドバイスを提供している。

著者紹介

OWL香港は、香港を含むアジアで既にビジネスを展開している企業経営者、これからアジア展開をしていきたい企業経営者、香港で暮らしていきたい方々に対し、香港及び中国本土における会社設立・管理、会計業務受託、ビザ取得コンサルティング他、各種ビジネスの支援を行う。

以下のインベストメントバンク出身者・弁護士が取締役を務める。

本名 正博 氏  マネージング・ディレクター
東京大学教養学部卒業
野村證券及び米大手投資銀行ゴールドマン・サックスにて、日本、香港、中国における企業の上場実務、M&Aを経験。企業オーナー、投資家に対して、国境を超えたタックスメリットのあるストラクチャー構築を支援。 2015年、OWL Hong Kong Limitedを設立し、富裕層・企業オーナー向けに、香港・東南アジアを活用したタックスメリットのあるストラクチャー構築を支援している。

小峰 孝史 氏  マネージング・ディレクター・弁護士
東京大学法学部卒業、オックスフォード大学経営大学院修了(MBA)
米系法律事務所(Sidley Austin法律事務所)の東京オフィス・香港オフィスで勤務。日系大手法律事務所(TMI 総合法律事務所)所属中、香港の C.P.Lin 法律事務所に駐在。2018年より現職。主として日本企業や日本の富裕層向けに、日本の税法等の法令を踏まえつつ香港の税制上のメリットを生かすよう、アドバイスを提供している。

http://www.owlhongkong.com/

著者紹介

連載富裕層向け海外移住サポートの専門家&弁護士が香港から解説!現地の最新投資事情

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧