専門税理士に聞く…ハワイ不動産売却時の譲渡益はどう決まる?

前回は、ハワイ不動産の「売却時にかかる税金」についてポイントを解説しました。今回は、ハワイ不動産売却時の譲渡益の決まり方について見ていきます。

所有期間中の「修繕費用」も経費に計上可能

ハワイ不動産を売却する際に、必ず直面する税金のお話。前回から引き続き、日本とハワイ両方の税務に詳しい、税理士法人アーク&パートナーズ代表税理士の内藤克税理士にお話を伺いました。

 

◆所有期間の経費をしっかり管理しましょう

 

株式会社Crossover International 代表取締役 田村仁 氏
株式会社Crossover International
代表取締役 田村仁 氏

田村 実際に物件を売却したら、譲渡益を算出しなくてはならないと思いますが、その際どこまでを経費として扱えるのでしょうか?

 

内藤税理士(以下、内藤) 譲渡益を算出するには、譲渡する際にかかった譲渡費用を経費として計上します。

 

売却にあたって支払う仲介手数料や、エスクロー費用などはイメージしやすいかと思いますが、所有期間中に物件の修繕や手直しをした費用も計上することができます。これは譲渡費用というよりは、取得費の一部として扱います。

 

つまり、譲渡益を算出するには、物件の売却代金から、取得時の物件代金、取得費、そして譲渡費用を差し引いて譲渡益を求めます。もちろん減価償却もあるので、単純に差し引きすれば良いというわけではないのですが。

 

 

田村 例えば、保有している間にエアコンを直したり、トイレを改装したりという費用は取得費として経費計上できるということでしょうか?

 

内藤 そういうことになります。仮に、その方が賃貸に出していたとするならば、その都度経費として計上していたかもしれません。その場合は、最後にもう一度経費にすることはできません。しかし別荘として所有し、都度経費で落としていない場合、これまでに手直しをしたものに関しては、売却時に取得費として経費計上することができます。なにも、売った時に支出したものだけが経費とは限らないということです。

 

そのため、所有期間中に支払った金額やエビデンスはきちんと管理しておかないといけませんね。また、多くはハワイにてドルで支払った費用になるかと思いますが、その時点の為替レートで日本円に換算して経費計上する必要があります。その観点からも、きちんとした管理会社を選ぶということは重要となります。売ってから書類がほとんど残っていなかった、ということになっては困ってしまいますからね。

相続を見越して「合有名義」で所有する人もいるが・・・

税理士法人アーク&パートナーズ 代表税理士 内藤克 氏
税理士法人アーク&パートナーズ
代表税理士 内藤克 氏

◆知らないとダブルパンチも?

 

内藤 取得時の相談としてよくあるのが、アメリカでの相続時に発生する複雑な検認裁判(プロベート)という制度についてです。このプロベートには費用も時間も多くかかるため、その手間を避ける目的で、夫婦やお子様を名義に加えて「ジョイント・テナンシー(合有名義)」という形態で物件を所有しているケースがあります。合有者の誰かが亡くなった場合、他の合有者に自動的に所有権が移るというもので、これによりプロベートを避けることが可能になるわけですね。

 

田村 確かに、相続を考えると合有名義がいいというのは聞きます。

 

内藤 しかし、これには落とし穴があります。プロベートを避けるという目的では合有名義は良いかもしれません。しかし例えば、物件購入資金の全額をAさんが出していて、Aさんの奥様が合有名義に加わっている場合、これはAさんから奥様へ物件の50%を贈与したとみなされてしまいます。

 

田村 これから取得される方は、プロベートを避けるため合有名義にする場合は、物件の資金もそれぞれが拠出する必要があるということですね?

 

内藤 そうですね。これから取得される方は十分対策が考えられるわけですが、もう何十年も前に合有名義で購入されている場合で、仮に購入時の贈与税の問題は時効になったとしても、売却時には名義人ごとの申告が必要になってしまいます。

 

つまり合有名義の場合は、購入時も名義人がそれぞれ物件資金を拠出し、売却時の収入もそれぞれが受け取るというのが原則なんです。他人名義の物を売却して得た収益が自分の銀行口座に入ってくれば、それは「譲渡後に贈与された資金」となるのです。この場合、譲渡所得税もかかり、さらに贈与税もかかるという最悪のパターンにもなりかねないのですね。

 

田村 それは悲惨ですねぇ。相続時のプロベートを避けるという目的はわかりますが、購入時そして売却時の税金のこともしっかり考えてから名義を選ばないとダメですね。

 

 

◆相続を考えたら売却が得策

 

田村 ところで、ハワイ不動産は相続税対策としては有効なのでしょうか?

 

内藤 日本では、相続税対策として不動産を買うということはよくあります。これは、不動産の実勢価格と相続税の評価額に乖離があるので節税が可能になるわけです。しかし、ハワイの不動産には相続税評価額というものがありません。相続の対象物件の市場価格をもとに、税金を算出します。つまり、価格に評価差が出ないため、相続税対策にはならないわけです。

 

田村 相続税対策は、ハワイ不動産に求めてはいけないポイントですね。

 

内藤 そうですね。ご自身で十分楽しんだら、相続せずに早めに売却していくのが得策だと思います。

 

今回も、ハワイ不動産の売却時における様々な盲点を教えてもらいました。

 

次回は、内藤先生との対談も最終回。ハワイ不動産に関して、これまで数々の税務相談を受けてきた内藤先生だからこそ知っている、数々の失敗談を教えてもらいましょう。

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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株式会社Crossover International 代表取締役

仙台第一高等学校、法政大学経済学部経済学科卒業。宅地建物取引士。
2002年より某大手ディベロッパーにて一棟物件、区分所有物件の事業用不動産の販売を手掛け、2005年より中古不動産のバリューアップに特化した不動産会社の創業・ブランディング構築に携わる。2008年より株式会社Seven Signatures Internationalにおいて、主に米国ハワイのホテルレジデンス・ラグジュアリーコンドミニアムプロジェクトの日本の超富裕層マーケティングのセールディレクターに就任。2017年に株式会社Crossover Internationalを設立。

WEBサイト http://www.crossover-international.com/

著者紹介

連載田村仁のホノルル不動産通信

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