建て主が「建築工法」「技術」に口をはさむのは間違い
建築業者の役割についても考えてみましょう。
建築基準法にのっとって、丈夫で長持ちする家を建てるのは建築業者の役割です。これは基本。間取りも決まらないうちから、どの工法が地震に強いのかといったことを議論しようとする建て主がいますが、どの工法を選んでも、無理な設計をしない限りは丈夫な家が建ちます。反対に、どの建築工法を選んでも、設計に無理があれば耐震性や耐久性は低くなります。
建築士は省エネ技術を学び、必要な熱抵抗値を得るために最も適した断熱工法を採用します。限られた予算の中で家の断熱性を高めるために、断熱材の価格も視野に入れながらプランニングしています。また、建築中の現場で職人に技術的な指導を行うのも建築士の役割です。そうした点を理解すると、建築工法や技術などについて、建て主が口をはさむのは間違いと気づいていただけるはずです。
建て主の役割は、計画の土台となる「目標」を作ること
本音を言わせていただくと、全ての建築業者は自分たちのことをよい業者だと信じています。そんな良心的な建築業者でも、ときにはトラブルに巻き込まれます。
建築業者がトラブルに巻き込まれない確かな方法は、自分が建て主であるという自覚のない人の建築工事を請け負わないことです。私はその方針を貫き続けているため、これまで大きなトラブルに巻き込まれた経験はありません。
よい建て主になるには、目標を立てるのが近道です。土地のない人は、土地を得るという目標を設定しましょう。その日から、土地を買うための資金計画がはじまり、土地の情報も集まります。快適な家を建てるために土地を買うのです。
そして、ある日、自分にぴったりの土地が見つかります。目標を設定していなければ、適当な土地の情報があっても見逃してしまうでしょう。あるいは資金手当てが間に合わないかもしれません。
この話は次回に続きます。