「仮想通貨の販売所」は「未公開株の売買」に近い⁉
「投資家側」にしてみれば、おすすめは販売所でなく取引所です。しかしそれなら、なぜ販売所はあるのでしょうか。これは「投資家側」でなく、「投資家から資金を集める側」の立場になって、かつ、「仮想通貨」でなく「会社の株式」で考えてみるとわかりやすいです。
上場を目指している株式会社であっても、いきなり上場はできません。上場には各取引所の厳しい基準があり、それをクリアするために会社を強くせねばなりません。優秀な人材を集めなくてはいけませんし、業種によっては高額の設備が必要になるケースもあるでしょう。お金がたくさん必要になります。そのため、会社は銀行から融資を受けますが、当然のことながら返済する必要があります。
しかし、資金集めは銀行から融資してもらう以外に「会社の未公開株(取引所に上場していない株)を売却する」という方法もあります。株式なら返済の必要はありません。
未公開株の場合、「会社」が「未公開株を買いたい人」へ売却する形になります。ですので、「株主になられると、やかましそうな人には売らない」こともできます。一方、「買って欲しいから今月購入する人には株価の25%オフで販売します」などの特典をつけることもできます。これらの行為は、上場していないからできることです。
しかし上場すれば、資金さえあれば会社を乗っ取る目的の人だろうと株は購入できますし、上場してしまえば会社側が「今月は株価を25%オフで販売します」とすることはできません。上場すれば「株式を買いたい人」と「株式を売りたい人」の取引になるからです。
株と仮想通貨では異なる点もありますが、「仮想通貨の販売所」は「未公開株の売買」、「仮想通貨の取引所」は「上場株の売買」に近いものとして考えてみてください。「資金を集めたい側」にしてみれば、「仮想通貨の販売所≒未公開株」の方が、コントロールできるというメリットがあります。
一方で、「仮想通貨の取引所≒上場株」の方が圧倒的に多くの投資家に見てもらえるので、莫大な資金を集めやすくなります。
買った仮想通貨が「売却可能か」も必ず確認
「投資家側」として「仮想通貨の販売所≒未公開株」で気を付けたいことは、「買ったはいいものの、売れない(買い取ってくれない)ということもある」という点です。未公開株を売却した会社や、仮想通貨の販売所は、一度誰かに売却した株や仮想通貨を買い戻す義務はないのです。
よって、あなたがある仮想通貨を販売所で買い、価値が100倍になり、「早く日本円に換金して利益を確定したい!」というときも、換金できない可能性があるのです。
仮想通貨を「販売所」で購入する際は、買ったものが売却できるかという点も必ず確認しましょう。いわゆる大手の販売所では大抵売却できるようですが。
[図表]「未公開株」と「上場株」の違い
なお、今まで販売所だけで売買していた株や仮想通貨などが、取引所でも売買できるようになることを「上場」と言います。
「上場」とは、「取引所に上場する」という意味なのです。
また、「すでに使っている仮想通貨の取引所があるものの、その取引所では自分の取引したい仮想通貨を扱っていなくて困っている」という方もいるかもしれません。
これは「取引所」が「うちではこの仮想通貨を扱いたいです」と金融庁に許可を取っているからであり、取引所が仮想通貨のラインナップを増やしたい場合、その都度金融庁の許可が必要になるため、時間がかかってしまうのです。
もちろんですが、「金融庁の許可」が下りているからと言って、その仮想通貨が「安全だ」というお墨付きがある、という意味ではないことはあらためて強調しておきます。