錆びにくく耐用年数の長い「ガルバリウム鋼板」
木造建築の外壁は、一昔前であれば、モルタルが主流でした。
しかし、モルタル壁は施工時間もかかり、費用もかかります。また、ヒビが入りやすい欠点もあります。
そこで、現在主流となっているのがサイディングです。
サイディングは、板状のものを壁に張るだけなので、モルタルと比べ施工時間が短く、材料費や工費も安く、さらに軽量で耐久性も良いというメリットがあります。また、サイディングはデザイン性にも優れています。
サイディングには、窯業系、木質系、樹脂系、金属系の4種類がありますが、住宅外装シェアの70%を占めているのは、窯業系です。金属系サイディングボードは、軽くて丈夫、断熱性にも優れているのですが、錆びやすいというデメリットがあり、人気は今ひとつです。
この金属系サイディングボードの錆びやすいという欠点を克服するべく生まれたのが、ガルバリウム鋼板です。
ガルバリウム鋼板とは、アメリカで開発されたアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の名称で、耐食性・加工性・耐熱性・重量性・デザイン性等に富んだ優れた素材です。その錆びにくさはトタンなどの数倍以上と言われています。
外壁が錆びるというのは、建物の美観を非常に損ないますので、錆が起こりにくいというのは金属製の外装材として優れていると言えます。
私は、自分の物件の外壁には、このガルバリウム鋼板を使っています。
アパート建築には、コストという縛りがありますので、自ずと使用する材料素材は限られてきます。そういった条件の中で、求めているデザインイメージに最適な素材が、このガルバリウム鋼板だからです。
[図表]ガルバリウム鋼板のメリットとデメリット
耐用年数20年以上だが、多少のメンテナンスも忘れずに
私がガルバリウムを使い始めた理由は、先述した通り長持ちするからですが、他にもう一つ理由があります。実は、平成8年にはじめて作ったデザイナーズ・アパートの外壁にサイディングを採用して失敗した経験があるからなのです。
その時は、少ない予算で建築する必要があったため、費用を抑えるために、当時一番薄い厚さ12mmのサイディングを使用しました。
すると、建築してから9年ほど経って、東側の外壁が波打ってきてしまったのです。一番安いサイディングを使ったために、経年劣化が早く起きてしまったからでした。
この経験から、その後、私は外壁にはガルバリウム鋼板を使うことにしました。ガルバリウム鋼板は、耐用年数が20年以上あるというのが魅力的です。屋根にも外壁にも使うことができるので、同じものを使えばコストを安くすることもできます。
デザイン性については、サイディングの方が、和風もできれば洋風もできるといった感じで多様性があります。一方、ガルバリウムは、モダンで、独特な無機質な落ち着いたスタイリッシュなイメージに仕上がると思います。
ただし、いくらガルバリウムに耐久性があり、20年間は頻繁なメンテナンスは不要とはいっても、当然ですが20年間何もしないと早めに寿命が来てしまいます。ですから、最低限のメンテナンスはした方が良いと思います。
例えば、外壁面に波打つような反りがないか、外壁の塗装が剥がれ落ちていないか、基礎のコンクリート部分に割れはないかなどは、定期的にチェックするようにしましょう。
屋根や外壁は、改修工事を行うとなると、かなり高額となります。そのため、耐久性が高いことや、将来、メンテナンスが頻繁に必要ない素材が、賃貸経営にとって有利になります。その上に、デザイン性に優れていることが理想です。その意味で、現時点ではガルバリウムが最良の選択だと、私は思います。
ガルバリウム鋼板の外壁