今回は、第三者承継の実務における専門家のコーディネートの重要性を見ていきます。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

第三者承継のプロセスは「2つ」に大別できる

第三者承継のプロセスの全体像は、以下の図の通りである。

 

 

このプロセスは2つに大別される。一つは、買い手を探し出すプロセス、もう一つは、取引実行のための実務手続を遂行するプロセスである。一般的に、これらのプロセスを売り手となる企業経営者が自ら実行することは難しい。

 

買い手を探し出すプロセスでは、(1)買い手候補をリスト・アップして探し出し、(2)彼らに自社の承継提案を持ち込み、(3)関心を持ってくれた買い手候補に対して自社の情報開示を行う。事業を承継したいという買い手が見つからなければ、廃業に追い込まれることもある。

 

一方、取引実行のための実務手続を遂行するプロセスは、複数の専門家の業務に依存せざるを得ない。公認会計士や弁護士などの複数の専門家の支援を受けながら、最適な取引スキームを立案し、売却価格などの契約条件の交渉を行い、契約を締結して取引実行まで辿り着くこととなる。この中では、公認会計士に求められる役割は大きい。

様々な専門家から、高度なアドバイスを受けても・・・

第三者承継の実務手続は、さまざまな論点を一つ一つ解決する行為の積み上げといっても過言ではない。このため、売り手の意思決定の判断材料として、各分野における専門家のアドバイスを活用する。一般的に、第三者承継において必要とされる専門性は、以下のような分野である。

 

①弁護士による契約書の作成

②税理士による取引スキームの立案

③公認会計士による財務デュー・ディリジェンス

④金融機関からの買収ファイナンス

⑤環境コンサルタントによる土壌汚染の調査

⑥不動産鑑定士による土地の評価

 

しかし、様々な専門家から提供される高度かつ難しいアドバイスを集中的に受けて、売り手である企業経営者がそれを即座に理解することは容易ではない。そこで求められるのが公認会計士による専門家のコーディネートである。すなわち、公認会計士が各専門家と売り手経営者との間に入り、様々な論点を売り手にわかりやすく丁寧に説明することが重要な役割となる。

 

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