米国不動産投資のエリア選び・・・注目したい「地域の世帯年収」

前回に引き続き、アメリカで「不動産価格が上昇しているエリア」の共通点について見ていきます。 今回は、居住者の世帯年収や地域の不動産価格といったポイントを解説します。

世帯年収の高さは「エリア・不動産の価値」に直結

前回に引き続き、アメリカ不動産市場で「価格が上昇しているエリア」の共通点を見ていきます。前回、3つの共通点について説明しましたが、4つめと5つめについては、合わせて解説します。

 

まず、そのエリアの世帯年収の高さが不動産の価値と比例関係にあることは想像に難くないでしょう。世帯年収が高ければ、払える家賃も上がります。高い家賃を設定できるのであれば、不動産価格も高まって当然です。

 

高所得者が住む土地には高所得者が集まる傾向があります。日本でいえば、かつて3Aといわれた東京の港区麻布・青山・赤坂エリア、千代田区の〝番町エリア〞などと同様です。学区が不動産価格と直結するアメリカではなおさら、その傾向が色濃く現れるといっていいでしょう。高所得者はその街で住民税を納め、彼らだけのコミュニティを形成するのです。自ずと低所得者が多く住むエリアとは、様相が異なります。そして、治安のよい閑静な住宅街ができあがっていくのです。

 

ただし、行き過ぎるとカリフォルニア州のロサンゼルスやサンフランシスコ、ニューヨークのマンハッタン島のように、一般のサラリーマンには手の届かない物件が乱立することになりかねません。これらのエリアでは、シングルファミリータイプで8000万円台はザラです。1億円を優に超す物件も数多くあります。そうなれば、購入できる人も限られるうえに、賃貸に回した場合にも入居者は限定されます。いずれのエリアも入居率は90%を超えるので、空室リスクも限定的ではありますが、客付けに一定の時間を要する可能性もあります。

 

そもそも、物件価格が高騰しているため、利回りは3%台前半ないし2%台後半という低さです。高額物件の値動きを見ると頭打ち横ばい傾向の兆しも見え始めており、出口戦略にも不安が生じます。だからこそ、世帯年収が高いエリアで、なおかつ不動産価格が当該世帯年収の中央値に対して10倍以内という線引きが必要になってくるのです。

 

 

先にあげたロサンゼルスの世帯年収の中央値は約5万2000ドル。円換算で550万円程度です。それに対して、一戸建ての平均価格は79万8000ドル。年収で割ると、15倍以上にもなるのです。同じく、ニューヨークのマンハッタンになると年収の中央値は7万5000ドルを超えますが、一戸建ての平均価格は約90万ドルで年収倍率は12倍近くに達します。これでは購入できる人が限られて当然です。

 

一方で、後に紹介するオハイオ州のコロンバスは世帯年収の中央値が4万7000ドルで、一戸建ての平均価格は約16万ドル。年収倍率は3倍強です。テキサス州のダラスも、世帯年収の中央値4万6000ドルに対して、平均価格は28万5000ドル。年収倍率は6倍強という水準です。これなら現地の人でも手が届く価格帯の不動産であるため、実際の購入ニーズが高く、今後の不動産価格の上昇も見込めるのです。

 

このほか、日本人がアメリカの不動産を購入する際には、その土地にどれだけの日本企業が進出しているかに注目してもいいでしょう。日本企業の事業所や生産拠点が数多くあれば、日本の駐在員を狙って入居者を募集することも可能になるからです。さらに、そのエリアの都市計画にまで踏み込んで精査すれば、より正確な成長性を測ることが可能でしょう。 

お勧めは、土地付きの一軒家かタウンハウス

なお、アメリカではさまざまなタイプの物件が存在します。

 

●シングル・ファミリー・ホーム……土地付きの一軒家

●タウンハウス……1つの壁をシェアして2つの建物が並んだ物件(長屋のイメージ)

●マルチ・ファミリー……1つの建物に4ユニット以上あるアパート

●コンドミニアム……区分所有のマンション

●デュプレックス……つながった2つのユニットが1つの建物にある物件(隣同士・上下の2パターンあり)

 

このうち、日本の投資家に最初の購入でお勧めをしているのは、シングル・ファミリー・ホームないしはタウンハウスになります。他の物件に比べて買い手が付きやすいうえに、値崩れしにくいという特徴があります。さらに、築年数が比較的古い木造のものが数多くあるため、日本人にとっては高い税効果が得られやすいのも理由の1つです。

 

 

おそらく、これからアメリカの不動産を購入しようという人も、このどちらかを選択することが多いかと思います。その際、1つ注意したいことがあります。「鉛塗料」の使用状況です。

 

日本ではアスベスト(石綿)が人体に有害であるとして、1975年に吹き付けアスベストの使用が原則禁止となりました。2006年には、アスベストの除去を進めるための関連法が成立しました。しかし、今なお古い物件の多くでアスベストが使用されているため、解体作業時にアスベストが飛散する危険性が指摘されています。そのため、不動産売買に先立って説明・交付される「重要事項説明書」のなかにもアスベストの使用調査に関する記載がされています。

 

これと同様に、アメリカでは鉛塗料を使った物件で、深刻な〝鉛中毒〞被害が発生し、1977年に使用が禁止された歴史があるのです。当然のことながら、それ以前に建てられた物件では今なお、鉛塗料が残っています。そのため、連邦法上、鉛塗料の使用について事前告知義務が課せられているのです。

 

鉛塗料を使用している物件は選択すべきでない、というわけではありません。鉛塗料が残っていても、その上から丁寧に何層も塗料を塗ってあれば、表面に出てくることはありません。どのようにメンテナンスを行っているか、そして、対策が必要な物件であればどれだけの費用がかかるかは、購入前にチェックしておくべきでしょう。 

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 部長

不動産コンサルマスター相続専門士、宅地建物取引士

相続対策及び事業継承、不動産を活用したM&Aコンサル、 米国不動産の購入及びその融資斡旋など幅広い業務経験を持つ「総合不動産コンサルティング」のプロフェッショナル。
圧倒的な不動産知識と、お客様のニーズにきめ細かく丁寧に対応するコンサルティング力は、多くの方々から支持を得ている。
企業研修等での講演実績多数。
2017年4月より現職。

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著者紹介

連載富裕層からの注目を集める「アメリカ不動産投資」の魅力

本連載は、2017年8月31日刊行の書籍『戦略的アメリカ不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

戦略的アメリカ不動産投資

戦略的アメリカ不動産投資

井上 由美子

幻冬舎メディアコンサルティング

日本人の多くが将来の不安を打ち消すために、せっせと預貯金に励んでいます。今の日本は、将来に対する過度な悲観論がデフレマインドを助長し、本来あるべき経済の成長を押しとどめているように感じています。国の健全な経済の…

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