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アメリカの賃貸管理会社への委託を円滑に進めるには?

前回は、物件購入の際に必要な手続き等について解説しました。今回は、アメリカの賃貸管理会社への委託を円滑に進める方法などを見ていきます。

日本の業者に事実上の管理を任せるのが得策

賃貸管理を行うPM(Property Management)会社は、物件を紹介してくれた日本の不動産業者を通じて探すことをお勧めします。英語は得意だから、と自ら現地のPM会社にコンタクトを取り、管理を直接、依頼しても結局は手間がかかるだけです。

 

なぜならば、日本とアメリカでは12時間以上の時差があります。トラブルが発生したときに現地のPM会社から、深夜2時、3時に連絡が入ったとして、果たして対応できるでしょうか? 日本と同様、アメリカでも設備が故障して修繕費がかかるような、コストの発生するトラブルに対処する際には、必ずオーナーの了承を得なくてはなりません。時差があるからと放置してしまえば、トラブルの火種は大きくなるばかりです。アメリカは訴訟社会ですから、訴訟トラブルに巻き込まれる可能性さえあります。

 

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一方で、日本の不動産業者を通じてPM会社と契約する場合には、その日本の業者を間に立てるのが一般的です。オープンハウスの例でいえば、不動産購入の際、買い主はオープンハウスと管理委託契約をし、オープンハウスがPM会社と管理の再委託契約を結ぶことで、すべての問い合わせに対応しています。

 

このように、アメリカに精通する日本の業者を間に挟み、事実上の管理を任せるのが得策かと思います。オーナー自らPM会社を管理しようと思っても、アメリカまでは目が届きません。家賃は現地PM会社が預かって、固定資産税の支払いに充てる積み立て分や管理費等を差し引いて、オーナーの口座に残りのお金を振り込みます。しかし、管理が行き届かないと、PM会社が固定資産税を積み立てておらず、納税の際に支払えないというケースも出てきます。実際、固定資産税は払い込み済みだと思っていたら、アメリカ大使館から小切手とともに「あなたの物件を売却した」という書類が届いた、という日本人の投資家に会ったこともあります。アメリカでは固定資産税を滞納すると、州政府がすぐに物件を競売にかけて固定資産税の回収に動くのです。

 

入居者の募集も、日本の業者を間に挟むことでオーナーの希望を伝えやすくなります。近年、デフレ経済下の日本では、コスト削減で〝手当て〞が減ったのか、日本の現地駐在員よりも、アメリカ人のほうが高い家賃でも入居してくれる傾向にあります。日本人よりも1〜2割高い家賃に設定しても、入居したいという現地の人は少なくありません。どのような入居者を希望するかは、この点も考慮して決めるといいでしょう。

 

入居者が見つかったら、日本と同様、PM会社経由で賃貸借契約書が送られてくるので、サインが必要です。これは、もともと入居者がいる物件を購入する〝オーナーチェンジ〞でも同様です。

 

このようなプロセスを経て、オーナー業を本格化した後に必ずやるべきことは、現地での納税申告です。アメリカの場合、納税に際して「ITIN(納税者番号)」を取得する必要があります。これは物件購入時に申請してもいいですし、1回目のアメリカ国内での税務申告の時期までに申請しても構いません。

 

アメリカでも日本同様、インターネット上での申告が可能になっています。初年度だけは、物件を仲介した日本の不動産業者と税理士に相談のうえ、申告書を作成するといいでしょう。初めだけ専門家の意見を仰ぎながらやってしまえば、翌年以降はオーナー一人で申告することも可能です。なぜなら、空室や予想外の修繕コスト等が発生しない限り、申告書に書き込む数字は変わらないからです。日本の不動産業者を通じて、毎月物件の収支を記したレポートが送られてくるのも一般的です。それをチェックすれば、2年目以降の申告は一人で十分できるものなのです。ただし、すべて英語でのやり取りになります。

 

物件保有時には、申告が必要な固定資産税のほか、HOA(Home Owners Association)と呼ばれる、日本でいうところの自治会費・町会費が毎年50〜100ドル程度発生します。加えて、火災保険の保険料として年間1000ドル前後。PM会社に支払う管理料は家賃収入等の額によって決まります。

 

なお、アメリカの不動産を扱う日本の業者のなかには年間家賃収入の70%程度を保証するサブリース(家賃保証)を行っているところもありますが、その話をするとアメリカ人はみな一様に驚きます。家賃保証など必要ないほど空室リスクが低いうえに、利回りが大きく低下するからです。オーナーとしては保険感覚で魅力的に感じるかもしれませんが、きちんとした物件を選択すれば、空室リスクをさほど深刻に考える必要はありません。 

「オファー」を参考にしながら売り先を検討

では、売却する際にはどのような手続きが必要になるのでしょうか? 大まかな流れは購入時と変わりありません。

 

まず、購入時から付き合っている日本の不動産業者に売却する旨を伝えると、「MLS」に売却情報が掲載されて、購入希望者のオファーを受け付けることになります。受付期間中に届いたオファーには希望購入価格や条件等が記載されているので、それを参考にしながら売り先を検討しましょう。なかにはローンを組んで購入すると記載していながら、ローンが下りずに契約解除となるケースもあります。複数のオファーがある場合には、購入希望価格が高いという理由だけで決めず、エージェントとなる不動産業者とさまざまな条件を吟味(ぎんみ)すべきです。

 

オファーに合意したら、購入時と同様、エスクローでの不動産取引の事務手続きが開始します。売り主がやるべきことは、物件の状態について詳細情報を開示するディスクロージャー・ステートメント等の作成です。買い主はインスペクション・レポートなどをもとに、最終的な価格交渉を行ってきます。この際、「カウンター・オファー」を出して、売り主側が売却条件を補足的に突きつけることも可能です。買い主側からは修繕を依頼されることもありますので、その可否を検討しながら、売却価格を決定します。

 

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なお、売却時には以下記載のようなコストが発生します(その他のコストが発生する場合もあります)。

 

●エスクロー費用……買い手と折半

●住宅補償保険……1年間の瑕疵担保保険

●タイトル保険料……1500〜1800ドル

●譲渡税……市や郡に支払う名義変更時に発生する税金

●売却手数料……売却価格の6%

●公証人費用……譲渡証書サイン時の費用

 

購入時にはローンを組む場合のみ、公証人立ち会いの下でのローン書類への署名が必要になると述べましたが、売却時には所有権の譲渡証書へのサインを公証人立ち会いのうえ行う必要があります。日本の取引においても、登記の際に、売却によって権利を失う売り主を「登記義務者」と呼び、本人確認等を厳しくチェックすることになっています。

 

これらの手続きが終了すると、買い主からエスクローに購入代金が入金され、エスクローが債権者(売り主のローン設定銀行)に支払いを行うことで抵当を処理します。そして買い主名義に登記の変更手続きを取り、エージェント手数料等の経費を差し引いた後、固定資産税の返金分などを加えて、最終的な売却代金が売り主の口座に振り込まれることになります。

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 部長

不動産コンサルマスター相続専門士、宅地建物取引士

相続対策及び事業継承、不動産を活用したM&Aコンサル、 米国不動産の購入及びその融資斡旋など幅広い業務経験を持つ「総合不動産コンサルティング」のプロフェッショナル。
圧倒的な不動産知識と、お客様のニーズにきめ細かく丁寧に対応するコンサルティング力は、多くの方々から支持を得ている。
企業研修等での講演実績多数。
2017年4月より現職。

著者紹介

連載富裕層からの注目を集める「アメリカ不動産投資」の魅力

本連載は、2017年8月31日刊行の書籍『戦略的アメリカ不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

戦略的アメリカ不動産投資

戦略的アメリカ不動産投資

井上 由美子

幻冬舎メディアコンサルティング

日本人の多くが将来の不安を打ち消すために、せっせと預貯金に励んでいます。今の日本は、将来に対する過度な悲観論がデフレマインドを助長し、本来あるべき経済の成長を押しとどめているように感じています。国の健全な経済の…

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