短い期間で多額の減価償却費を計上することが可能
高級中古車と並んでポピュラーな減価償却資産に、クルーザーがあります。
クルーザーは、総トン数が20トン未満で銅船、木船以外のものについては、法定耐用年数が4年と短く、定率法も使えるため、償却率が0.5になります。つまり、中古自動車と同じく短期間で多額の減価償却費を計上できるので節税に使いやすいのです。
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例えば、法人が新品のクルーザーを2000万円で取得して、1年間使用した場合の減価償却費は、
【1年目】1000万円=「2000万円×0.5」
【2年目】500万円=「1000万円×0.5」
【3年目】250万円=「500万円×0.5」
【4年目】250万円(未償却残高1円を除く)
となり、比較的短期間で法人の所得計算上、損金化できることになります。ただし、クルーザーを取得するために、その法人から現金が2000万円流出しており、その回収を図ることについてどのように考えるのかが、クルーザーを取得するに当たって検討しなければならないポイントになります。
また、クルーザーは維持費も高額なため、維持費を支払うことができる所得を将来にわたって稼ぐことが可能かどうかについても考慮する必要があるでしょう。なお、ヨットについては、法定耐用年数が5年とされており、クルーザーよりも1年長く使えると考えられています。
減価償却費の計上には「事業用」としての使用が前提
あるオーナー社長が念願のクルーザーを購入しました。節税にも使えると聞いて青い海でのクルージングライフを満喫していました。ところが法人税の申告をしてみると減価償却費として認められない・・・。これはなぜでしょう。
法人がクルーザーを保有して、その減価償却費を法人の所得計算において損金にするためには、法人がそのクルーザーを事業の用に供していること、つまり会社の事業用に使っていることが前提となります。しかしながら、税務署からすれば、法人はそのクルーザーを本当に事業に使っているのだろうか? と怪しく見えてしまいます。極端にいえば、クルーザーを買ったというだけで目を光らせます。
法人の代表者や役員のみが個人的にそのクルーザーを使っているのではないだろうか、クルージングという個人的な趣味の費用を法人の損金に付け込んでいるのではないだろうか、という疑問が生じる場合もあるわけです。
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そこで、その法人の法人税・消費税について税務調査が行われるときには、そのクルーザーの利用実態について調査されることがあります。本当に自分ひとりで使っていたのであれば言い逃れのしようもありませんが、実際に法人で利用しているのに疑われるのは釈然としません。では、どうすれば事業用に供していると証明できるのでしょうか。
次回は、事業用としての利用を証明する方法について見ていきます。