前回は、「ビザ発給・滞在日数」等の管理のポイントについて取り上げました。今回は、海外プロジェクトにおける「PCソフト利用」の注意点を見ていきます。

現地のライセンスを取得しないと法令違反になることも

PCソフトウェアの利用条件も、法律的な話として注意しておきたいことです。

 

出張などで、日本で使っているPCを海外に持ち込んで使うことはよくあることですが、厳密には法令違反になることがあります。

 

例えば、多くの人がPCで利用しているマイクロソフト製品は、日本でのみ使用可能なライセンスであることが多く、そのまま海外で使うと法令違反になります。海外で使用する場合は、ライセンス条項を確認し、日本国内のみの使用許諾であれば現地用のライセンスを取得しなければなりません。

 

またプロバイダとしてお客様のPCにソフトウェア製品をインストールする場合には、輸出管理が必要になる場合があります。

 

マイクロソフト製品を例に取ると、日本の「外国為替及び外国貿易法」による輸出規制(規制に関する最新情報は経済産業省のWebサイトで確認できます)を受けると同時に、アメリカの法令の適用も受けます。

 

税関で最終的に輸出許可の要否を確認するための「パラメータシート」という書類を作成する必要もあります。

 

日本で利用できるPCが海外でそのまま利用できるとは限らない、むしろできないと考えておき、きちっと調べて対応してから持ち出すことが必要です。

進捗・課題の管理はWebツールで情報共有

日本では、進捗管理や課題管理などは、Excelなどの表計算ソフトのフォーマットに入力してもらい、その他、必要があれば別途レポートを作ってもらったうえで、事務局の集計担当者が会議用・管理用のレポートにするやり方が主流と思われます。

 

工場などでもこのような管理の仕方が多いようです。日本では間接作業をする要員(管理職が行うことも多い)がデータを集めて、さまざまに加工してきめ細かく管理するやり方が向いているのでしょう。

 

またオンラインの管理ツールを用意しても、なかなか入力してもらえないことがあるのも間接作業要員が必要な理由でしょう。日本ではITに限らずエンジニアや作業担当者は、入力業務を面倒だと考える傾向があるようです。放置しておくと、管理情報が最新に保たれず、最新化のためにも間接作業要員が必要となってきます。

 

とはいうものの、日本でも間接作業要員を削減する傾向が出てきていますので、いつまでこのやり方が主流かは分かりません。

 

一方、海外では間接工数削減が徹底しています。大企業はもちろん、中規模クラスの企業でも、自社プロジェクトの管理には同じツールを使います。進捗管理や課題管理のほか、システム運用時の問い合わせ管理、プログラム変更管理、構成管理、テスト工程管理等も同様です。

 

入力データの質の問題はあるかもしれませんが、タスクの一部として定義してあげれば、最新情報の入力も仕事のうち、と理解してくれ、必ず実績入力してくれます。

 

人材の流動性が高いことが、ツールへの最新情報の入力が義務化されている大きな理由でしょう。突然離職されたり解雇したりしたときに、最新情報が入っていないと残されたメンバーが引き継ぐことが困難になります。

 

グローバルで情報共有するのであればWeb管理ツールが便利です。海外の企業を活用するのであれば、表計算ソフトではなくWebを主とすべきであり、日本側もそれに慣れることが必要です。

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