前回は、海外プロジェクトにおけるドキュメントの「外国語化」に関する留意点を取り上げました。今回は、海外プロジェクトで注意したい「インフラリスク」について見ていきます。

豪雨による停電でスケジュールに影響が出たケースも

国内のプロジェクトでもリスク管理がしっかりされるようになってきましたが、さすがに頻繁な停電やネットワーク不通をリスク項目に挙げるプロジェクトは少ないのではないでしょうか。

 

これが海外では、かなり重要になります。

 

ブラジルでは日本では考えられないインフラリスクが実際に発生しました。

 

豪雨による停電やネットワーク不通が、多いときには週に1回、工場内だけではなく地域全体で発生したのです。そのためにテスト環境に接続できず、スケジュールに影響が出ました。

 

日本ではサーバールームやデータセンターに停電対策が施されていることがほとんどですが、国や地域によっては期待できません。

 

サーバーダウンに対しては、クラウド環境を用意しておくというリスク対策も可能ですが、ネットワークに障害が発生するとお手上げです。

 

ですので、国や地域によっては雨季をスケジュールに含めないなどの対策が必要なことがあります。こういう時期には、資材調達も止まることがあります。

インフラを日本と同様に考えず、綿密な事前調査を

業務継続のためにサーバーを移設しようとしたら、道路がガタガタで移動中にサーバーが壊れるということも実際にあります。タイ、インド、ブラジルなどで体験しました。

 

ネットワークに関しては、国や地域をまたがる場合に帯域が足りなくなることもあるので、十分な事前調査が必要です。

 

電気、道路、上下水道、交通機関などの社会インフラを日本と同様に考えては失敗します。必ず綿密な事前調査(特に現地駐在員によくヒアリングする)をし、リスクとして管理しておかなければなりません。

ITエンジニアの「海外進出」読本

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五嶋 仁,高木 右近日向

幻冬舎メディアコンサルティング

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