前回は、日本人が海外に常駐して働く際の注意点など取り上げました。今回は、「ビザ発給・滞在日数」等の管理のポイントについて見ていきます。

中国は滞在日が183日を超えると納税義務が発生

就労ビザが発給されたので長期間滞在できると思っていると、思わぬ落とし穴もあります。中国では、滞在日が183日を超えると、中国政府への納税義務が発生します。

 

このことを知らないと、日本人キーマンが納税を避けるために帰国してしまい、肝心なタイミングに重要な交渉や会議に参加できないこともあり得ます。

 

国内のプロジェクトでは、延べの滞在日数を管理することはあまりないのですが、中国を拠点とするプロジェクトでは、必須の管理項目となります。

 

最近では、テレビ会議の品質もよくなったので、キーマンが現地におらず会議ができないということにはならないかもしれませんが、押さえておくべき項目ではあるでしょう。

開発要員を日本に滞在させる場合も、ビザ関係に注意

海外企業の要員を日本に呼ぶ場合もあります。この場合も就労ビザの給付をしっかりと日程に組み込んでおくことが必要です。

 

中国の開発要員を日本に滞在させる場合、特に面倒です。ビザの関係で日本をいったん出国してから再入国が必要になることがありますが、そのような場合には一度にキーマンが全員不在になることがないよう、綿密なスケジュール管理が必要です。

 

また出国者の開発工数を補うために、少し余裕を持たせた要員のアサインも必要になります。例えば、開発期間が6カ月で30人月規模であれば、単純計算では5人アサインすれば済みます。しかし、ビザのことを考えると8人ぐらいは確保しておくことが望ましいのです。

 

これは中国に限った話ではありません。海外技術者を日本や導入先の国や地域に呼ぼうとするときは、国や地域の関係によって、ビザ取得・渡航に数カ月を要する、一度出国するといつ再入国できるか分からない、といったこともあるので、要員アサインと作業引き継ぎに関しては十分な注意が必要となります。

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五嶋 仁,高木 右近日向

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