前回は、中小企業が助成金の受給対象となるための3つのポイントを説明しました。今回は、「助成金受給」のために必要な条件を見ていきます。

助成金ごとに設けられた要件+「3つの前提条件」がある

雇用関係助成金は中小企業に恩恵をもたらしてくれますが、どのような企業でも受給できるわけではありません。助成金ごとに設けられた要件に加え、まず前提として次の3つを満たしておく必要があります。

 

(受給できる事業主)

1 雇用保険適用事業所の事業主であること

 

2 支給のための審査に協力すること

(1)審査に必要な書類等を整備・保管していること

(2)審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること

(3)管轄労働局等の実地調査を受け入れることなど

 

3 申請期間内に申請を行うこと

 

助成金は雇用保険二事業が財源になっているため、受給するためには雇用保険への加入が必須です。創業間もない企業や零細企業など、雇用保険に未加入のケースもあるでしょう。加入手続きは複雑ではありませんから、一つ上のステージを目指していくために、助成金の申請を機に加入を検討するのも良い方法です。

助成金を受給できない事業主とは?

一方、次のいずれかに該当する事業主は助成金を受給することができません。

 

(受給できない事業主)

1 不正受給をしてから3年以内に申請をした事業主、または申請日後、支給決定日までの間に不正受給をした事業主

 

2 支給申請日の属する年度の前年度より前の年度の労働保険料を納入していない事業主

 

3 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反があった事業主

 

4 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業、またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事業主

 

5 事業主または事業主の役員等が、暴力団と関わりのある場合

 

6 事業主または事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体に属している場合

 

7 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主

 

8 不正受給を理由に支給決定を取り消された場合に、都道府県労働局等が事業主名等を公表することについて、同意していない事業主

 

そのほか、社内備付書類(労働者名簿やタイムカード、賃金台帳など)の準備、労働保険料や各種税金の納付、就業規則の作成などを始め、申請時に必要な条件や用意すべき書類は数多くあります。助成金を申請する際は見落としがないよう、念入りに準備を行う必要があります。 

本連載は、2018年5月28日刊行の書籍『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい

中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい

寺田 慎也

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者は公的支援をフル活用して業績を向上させよ! 税理士・社労士資格を有する経営コンサルタントが豊富な実例をもとにわかりやすく解説。

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