前回は、助成金受給のための「社労士・税理士」の上手な使い方を説明しました。今回は、労働関係助成金の割り増しを得るために「税理士」が必要な理由を見ていきましょう。

経営に深く関与する税理士は「生産性向上」のカギ

2017年4月より、労働関係助成金(一部)を受給した企業が生産性を向上させた場合、助成が割り増しされることになりました。この生産性向上のカギを握るのは、経営に深く関与する税理士です。事業成果の月次の通信簿である試算表を読み解き、人材投資の資産配分や経営対策を検討しなければならないからです。

 

生産性要件を満たすためには、「助成金の支給申請を行う直近の会計年度における『生産性』がその3年度前に比べて6%以上伸びていること」(事業性評価の場合は1%以上6%未満でも可能)が必要で、この要件における生産性は次の計算式で算出されます。

 

〈生産性の計算式〉

付加価値÷雇用保険被保険者数

営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課

助成金は受給してからが本当のスタート

助成金は受給したら終わりではなく、むしろ受給してからが本当のスタートです。助成金を再投資し、生産性の向上につなげていく。節税を講じて資金の流出を最小限に抑える。そのためには受給後のモニタリングが不可欠です。その意味でも関与先の経営を熟知した顧問税理士の視点が必要なのです。

 

助成金が受給できるかどうかの可能性(入口)、助成金額の割増(過程)、助成金受給後のモニタリング(出口)──このすべてのカギを握るのが税理士だということです。 

本連載は、2018年5月28日刊行の書籍『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい

中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい

寺田 慎也

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者は公的支援をフル活用して業績を向上させよ! 税理士・社労士資格を有する経営コンサルタントが豊富な実例をもとにわかりやすく解説。

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